karin: May 2008アーカイブ



ひもでした。



今日は何となく雑談なんかする暇もあって、会社の女の子と色々話していた。不満や愚痴や私生活であったことなど。彼女の仕事も上手くサポートできて、感じが良かったので誘ってみた。



「それで、来週さ…。」



と、彼女の目を見る。半分は無意識だったため彼女の表情までは読み取れなかった。そして「うん」と頷く彼女。



「デートしない?」



と、再び彼女の方を見て言う。言ってしまった。もう死ぬ。断られて死ぬ。なんて、軽い恐怖の気持ちが始まりそうだったけれど、意外に早い段階で彼女が応えた。



「うん、いいよ」



あれ、なんかあっさり。あまりに迷いもなくOKされて戸惑う。え、え、良いの?デートだよ?男女の関係だよ?でもでも…。



「まあ、デートって言っても自分の仕事で作ったパネルとかブースを見に行きたいなってだけなんだけど…」


「うん、良いよ。わたしも、展示会とか結構好きだし…。」



こう、女の子を誘った場合の反応ってみんな似ているなと感じた。なんだか話を合わせたがる。いや、誘った経験なんて数えるほどしかないんだけれどさ…。って言うか、疑心暗鬼?



でも、約束を取り付けて一応上手くいった。これで来週頑張ろう。



そう張り切って帰ろうかと準備していると、彼女に言われる。



「今日はまだ帰らないの?」


「うん、まだもう少しあるし進めておく予定だけど…」


「わたし、もう今日は疲れちゃってるから帰りたいなー」


「良いんじゃない?無理することないし、帰って良いと思うけど?」


「うーん…」



と、また彼女は席に戻り仕事を始める。また、無理してるなーと思って彼女を帰らせようと策を練る。30分くらいして、自分が帰ることに決めた。



「じゃあ、帰ります」



なんて話を切り出すと、彼女も



「わたしも」



なんて上手く話をあわせてくる。前もって合わせた訳じゃないのに、ふしぎ!冗談半分で話を進める。



「じゃあ、電車のとこまで一緒に帰る?」


「うん、帰ろう。先に下の階降りて待ってて…」



で、待つこと数分。じゃあ、帰る。と歩幅を進めて行くと彼女がこう切り出してきた。



「あのね…」


「うん?」


「面白いお店があってねー」


「面白い店?」


「そう、たぶん行ったら驚くよ?行かない?」


「…うん、別に良いけど」



なんて、彼女に誘われて行ってみたら飲み屋さんだった。ほんとお酒大好きらしい。普通にデートもしたことないような男子が女の子と2人っきりで飲み会。たしかに面白い。そのまま雑談をしながら食事をして色んな、「好きなもの」の話で乗り切った。



「あとね、もっとみんなに心を開いた方が良いよ?わたしとも、こうして話せてるんだから…」



とアドバイスもされる。別に閉ざしてるわけじゃ…なんて曖昧に答えておいたんだけど…。それでお会計。会計持ってレジ行くかと会計を取ろうとしたけど、彼女に取られた。代わりに彼女に「傘持ってよ」なんて言われる。ちょ、待てよ!



まあでも、お会計の半分くらいは出しておこうと千円札数枚を握り締めレジに出す。準備良いね!なんて気分良くレジにおいたんだけど、彼女に戻された。



「これは、持っといて。」


「うん?」


「最初くらいは、わたしに払わせてよ」


「いやいや、半分くらいはさ…」



と、彼女はレジにカードを出す。



「これで」



おっとなぁー!カードで出されたら、野口英世も黙らざるおえない。いや、でもさーなんて言ってたら彼女も上手く逃げようと自動販売機を指差して言う。



「じゃあさ、タバコ買ってくれる?」


「う、うん…」



ああ、勝手に身体が動いてしまい、買ってる隙に会計済ませやがった。これは、あれですよ。ひも。以前に彼女とランチに行ったときも、たしかに彼女はそういう雰囲気をもっていた。甘えたらお金払ってくれそうな可哀相なタイプ。



「ひも。今日からひもになりました。」



とか言ってる場合じゃなくて、金額相応のプレゼントにしてお返ししよう。しなきゃな。ひもはマズい。




会社の女の子に対してアドバイスをしてきたし、尽くしたんだけど最近は頼られなくなった。あたらしく上司が入ったし、何だかんだ言って彼女はその上司に相談に乗ってもらっている。



これで自分の役目もこれで終わりかな



なんてことを思う。今日も彼女の手助けとして仕事をサポートしてあげたけど、今までより感謝されなかった。いや、感謝はしているんだろうけどリアクションが薄かった。



もう必要ないのかな…。



と落ち込む。



彼女に仕事の話をされて、書類に目を通しながら考えていた。どうすれば効率よく進められるのか、そして、どう彼女に説明するか…。



「…」



少しの間。



「…………」



その様子を見て彼女がすこし表情を覗き込むようにして言う。



「もう1回説明しよっか?」


「…うーん、大丈夫。内容は分かるんだけどさ」



微妙な間が怖かったらしい。たぶん、自分が話すタイミングが他の人のそれとは違って独特の間があるから、不安がられるんだろうな。心配そうな顔で見られて少しだけ嬉しかったんだけど。



けれど、そんな彼女は



「今度、フランス料理を食べに行くんだー」



なんて、社内の独身男の誘いのことを嬉しそうにしていた。小さいことでも嫉妬してしまう。



“良いんじゃないの?そのまま付き合っちゃえば良いじゃん”



と冷めている自分もいるんだけど、どうも腑に落ちない。前に新しく入った上司に、その独身男の苗字で呼ばれたときがあった。そのときの彼女の反応が



「変な間違い方しないでください。ていうか、絶対やめて。」



と本気で嫌そうにしていた。けど、その人と一緒に料理食べに行くのは平気なんだ…、みたいな。女の子ってズルいな。



水曜日くらいから彼女に対して、



「来週末にデートしない?」



と、聞こうとしているのだけどタイミングを全部逃している。あまり彼女の機嫌もよくないし、周りに聞かれるって言うのもあんまり好ましい状況じゃない。デートというより仕事の延長だから、何とも思われないだろうけど…。



馴れない事をするのは怖い。怖いけど、後悔はしたくない。





“女の子の話すことに対して、男は解決策を答えようとする”




そんな経験はなかったけど、会社の女の子に対して話していたら不思議とこのルールに当てはまった。具体的には、彼女が会社や人間関係の不満を言ってくることに対して、どうすれば良くなるのか?という解決策を考えて話していた気がする。



だけど、彼女は解決策なんてことを求めてはいなくて、話を聞いてくれて共感してくれる人がいれば十分なんだと気付いた。考え込んだ結果、いい解決策が見つからず



「可哀相だね…」



しか言えなくなる自分。それが情けないなと思っていたのだけれど、彼女自身も解決策なんて求めてはいなくて、話を聞いてもらってストレス解消になればそれで良いと思ってる。そういう女子的な会話と男子的な会話の違いが、その典型的なパターンに当てはまっていたんだとあらためて実感した。





「もう帰るの?」



帰り際に彼女の側を通り挨拶をすると、そう彼女は言ってきた。



「うん、帰るよ」


「そっか、お疲れさま」



少しの間だけ目が合って見つめ合う。じゃあ、行こうかと振り向こうとしたところで彼女が立ち上がって隣りで作業している人に聞こえるように言う。



「今度さ、みんなで家に料理食べに行こうよ」


「うん?」


「いつも家で作って食べてるんでしょう?」


「そうだけど…。」



なんだか、唐突に現実味のない話を振られて戸惑ってしまう。帰り際に話をするのは好きじゃないので適当に答えを合わせて、彼女に話しかける。



「…じゃあ、お弁当でも作って来る?」


「ううん、行く!」



すこし目を輝かせながらそう言う彼女。あまり積極的な子と思われる不安感からか、隣りで作業してる人に声をかける。



「ねえ、3人で一緒に作った料理食べに行かない?」



いやいや、それは…。なんてことを思いながら、もう疲れたのでさっさと帰ることにする。もう彼女放置プレイ。じゃ、お疲れさまでーす。なんて小声で言って、彼女の前から立ち去る。



「あれ、乗ってこないんだ…」



と、後ろから聞こえた気がする。あまり現実味ないし、社交辞令な話なんてしても意味がない。どうせなら自分が作った料理を彼女に食べさせてから、逆に彼女のほうを美味しくいただく、なんて妄想で…死ぬ。





今の自分の居場所に満足はしていない。けれど、本当に行きたいと願う場所からは良い返事をもらえない。自分がどちら側の人間なのか。今の満足していない現状で精一杯努力する、それが最善の策にも思えるけど、ただ逃げ続けているだけのようにも思える。



上の人間と下の人間。結局のところ、年齢が信頼される一番の要素みたいだ。たとえ自分で実力がある、と感じていても上の人間に正当な評価はされない。どんなに言ってみても、ただ成果主義だと言われるだけで成果をあげれるような仕事がまわってこない。



「実力がある」



それは誰から言われるかが重要で、言ってくれた人が正当な評価が出来る人だとは微塵も感じてない。もう何を信じれば良いのかよくわからない状態。



Don't Trust Over 30.




女の子は外見上の違いこそ大きいものの、内面の部分。ソフトウェアに大きな違いがないと思えてきた。たまに例外もいるけど。みんなが同じ情報源を共有し、同じような体験をしているからか、どんな人と話してても違いって小さいものだなと思った。



それで、会社の女の子の話。彼女と初めてランチに行って嬉しかったけど、冷静でなんか冷めてる自分がいることに気付く。自信がないからか、それとも自信のないところを見られるのが嫌だからか分からないけど。関係を発展させようと行動しても上手く行かず、



「結局別れるときに寂しい思いするだけだろ?」



と、心の声が言うだけ。恐怖心。



「自分が楽しめれば良いじゃん」



考えつめた結果、こんな風に楽観的に思うこともある。相手のことをあまり気にかけず、自己中心的に動くことは難しい。何だか人ってよく分からん。



そんなに好きでもないけど、休日にどっかに誘ってお話してって感じで良いのかな。どうせ嫌われるだけだろうとは思うけど。でも、たしかに上京前にひとつの目標として考えていたことは



“キッカケがあったときに行動できる自分”



だったと思う。フラグがたっても完全スルーしていた時代を何度も後悔したし。



付き合うことってタイミングなのかな。恋人がいない状態で上手く2人出会ってるわけだし、好きとか嫌いじゃなく、まず付き合ってみる。みたいに考えないと誰とも付き合えないのかも知れない。なんか何言ってるかも、何が言いたいかもよく分からん。




普通にOLと2人きりでランチ行ってきました。



「昨日、夢に出てきて…」


「わたしが?」


「うん。転職してビジネスマン向けのメンズブランドに就職したって言って喜んでたよ。」


「そうなんだ」


「正夢になったり、する?」


「でもわたしはブランドとかは興味ないかな」


「男向けのスーツとか好きな女の人って結構いない?」


「うーん…、わたしは嫌いな人がカッコ良いスーツとか着てても何とも思わない。」



なんて他愛無い会話をして店内へ案内される。彼女が主導権を握るように動いて、1人で行きにくいなんて言う彼女が、一人で行っても問題なさそうな印象だった。お姉さんタイプなのか、面倒見の良いタイプなのか、いつも周りに気を遣ってるタイプ。



食事中はわりと普通に好きな食べ物とか嫌いな食べ物とかの話題中心で、核心を突くような話題にはならなかった。そもそも、誘われた理由もよく分かってないし核心なんてのもないのかもしれないけど。



そして簡単に食事を済ませると、彼女が微笑んで言う。



「行こっか?」



そして席を立つと同時に彼女が伝票をレジに持っていく。その姿はまさにお姉さんみたいな。普段から優しい感じがするから、今までもそういうお財布的な扱いを受けてたのかと思わせる。普通に割り勘で払ったけど。



今回の彼女とのランチでどういう性格なのか掴めてきた。付き合うことは、こうして互いの価値観を合わせていくってことなのかな。今回も言いたいことの半分も伝えてない。だけど、彼女と話すときの距離感は近くなった。



何か行動起こさないとダメかも。起こせば確実に進展するんだろうけど、いろいろ恐怖だな。そりゃ、お姉さんタイプは好きだし、優しい人も好きなんだけどさ…。





「あのね、わたし中華で食べたいのあるんだけど女ひとりだと行けないから、今度一緒に行かない?」




これ、なんてフラグ?



以前にも書いたとおり、OLと一緒に食事行くのが夢だったりするのが、明日実現することになった。それも、あっけなく。1対1での食事は今世紀にはいって一度もなかったな。いや、前世紀もだけど。勝手なイメージで食事をすることは欲に直結しているから、わりと性的な意味に考えてしまう。



会社の女の子に名前で呼ばれて急に誘われたけど、すぐ「いいよ」と返事をして「明日にしよっか?」と答えた。前日に彼女が「もう辞めるかも」と言うニュアンスで話していたので、最後になるかも知れないし良い機会かなと、すぐ決断ができた。さようなら優柔不断。



さらに関係を発展させるには攻めないといけないんだけど、どうすれば良いか全然わからん。サッカー日本代表が敵ゴール前で良いパスが来るんだけどシュートを戸惑う気持ち、あれだ。



「え、良いの?自分が決めちゃって良いの?蹴って良いの?シュート?」



そんな心情。そんなことを考えた結果、パスしちゃうような…。なんか分からん。で、その彼女も別の独身男と打ち合わせついでに一緒に夕飯食べてるみたいだし、本気で分からん。死ぬか。




念願かなって前の会社の女の子に会えたし、以前の関連会社に書類を提出したらとりあえず生活はひと段落。やるべきことはやったし、どう転んでも後悔しないと思う。あとは運を天に任せて待つだけ。



引越しをした二月初めから今まで土日も休まず全速力で走り続けて、さすがに息切れしてきた。無気力。倦怠感。そんな5月。初春から初夏にかけては、毎年のように焦りの気持ちでいっぱいになる。



仕事。取り急ぎ1社目で内定した仕事も2か月目の試用期間。問題はたくさんあるが、楽と言えば楽。ぬるま湯状態。評価はされているけど給料は並程度。だけど不満は山ほどある。今、仕事ができると誉められても嬉しくない。そんなことより、性格であったり顔であったり、他の遊ぶ才能があるほうが良い。人はそんなに簡単には変わらない。それは環境を変えても同じだった。



恋愛。やはり無気力になった原因は前述の前の会社の女の子だったように思う。あれはあれで、片想いの失恋だった。彼女と会えなくなり、何か別のことを必死で考えたかった。自分は地球上に存在しないんだと言い聞かせ現実逃避をした。



その後、気持ちの整理をつけようと彼女に会って話したけど、気持ちは何も変わらないみたいだ。「変わる」って言葉は簡単に使えるけど、変えることは難しい。自分の気持ちだって、スイッチのように簡単には切り替えられないみたいだ。




“変えるための行動”




会社の環境を改善しようと思って行動した。手を差し伸ばせば人を助けられる。そう思っていたけれど、結局は何も変えられなかった。




“漫画のような絶対的な悪は、社会には存在しない”




誰も悪いことしようと行動してるわけじゃない。けれど、その行動がたとえ正しくても傷付く人がいる。人に「悪い」と指摘しても、それは考え方の相違で、本当に正しいことなんて誰にも分からない。




“自分の信じる道。それを信じて続けることは難しい”





人付き合いって難しい。



相手に期待されるほど面白い人間ではないし、自信を持って生きていたわけでもない。だから、「経験談からどう思うか」のような話を振られても一般論しか言えないし、結果、会話が壊滅的につまらなくなる。結局、仕事だけ出来れば良いんだろ?と思っていても、何故か食事に誘われたりする。



仕事とプライベートは分ける。そういう主義だけど、そうも言ってられないようだ。



「趣味は何?」



そう聞かれても、答えに詰まる。そもそも、趣味に費やせるほど暇じゃないし家に帰ってからも精力的に動けるタイプじゃない。会社から家に帰るときに一番幸せを感じ、時間が早ければ早いほど良い。



「今は付き合ってる人いるの?」



いや、いたこと一度もないし。当たり前のようにこんな質問をして傷付く人もいるってことが分からないんだろうか。そんな風に何を聞かれるか分からないから考えすぎて気疲れするし、適当に答えられるほど神経が太くもない。



人を理解してコミュニケーションするってことは想像以上に難しく、仕事上の関係の食事会や飲み会をする程度では到底コミュニケーションとれるとは思えない。



“誰かと食事したりお酒を飲んだりしたいのは、それこそ趣味の世界だよ”




逆に、自分のコミュニケーションの取り方って何だろう?と考えると、特に女の子に対してはプレゼントをよくする。可愛いものであったり、その人が好きそうなものを考えて贈ることでコミュニケーションをする。これは相手には迷惑かも知れないけれど、それなりに喜んでくれて結構楽しい。





「そうだね、やってみた方が良いんじゃない?」


「うん…」


「迷ってるの?」


「いや、ちょっと自信があんまり…」


「ない?」


「でも、それってカッコつけたいだけなんだよね。小さいプライドがあって、それを守りたいだけで…」



生きていく上で人を臆病にさせるのがプライド。これのせいで今までの人生は後悔ばかりしていた。



「だから、やってみれば良いとボクも思うよ」



その女の子はたまに一人称で「ボク」を使う。自分は女じゃなくて、中身は男に近い考え方を持っていると話していた。



「そうかもね。行動しないと絶対に後悔する。たぶん、自分が上京した理由もそれがあってさ…」


「ふーん。わたしもね、留学していたときはね…」



と、互いの経験談を話し合う。彼女の見ている広い視野、深い知識、頭の鋭さ、どれをとっても自分より優れて見えた。すごいね、と感心して伝えると彼女は謙遜しながら答える。



「全然すごくないよ、わたしにも分かんない事も多いし」


「そんなに知ってて、まだ知らない事があるの?」


「うん、そうだよ」



すこし微笑んで言う彼女。




“行動しないと後悔する”



行動するときに小さなプライドが邪魔をして足が竦む。恥をかくのを怖がってしまう。だけど、それって結局はただカッコつけたいだけ。そうじゃなくて、行動することは後悔しない人生を生きるってことなんだと思う。一生懸命になること、行動を起こすことは恥ずかしいことじゃない。分からないことがあるから行動したり、一生懸命になれるんだ。





相手に好きになられたら付き合う



なんてことを前の自分なら当たり前のように言っていたけど、違うんじゃないかと思い始めた。相手に想われることは嬉しいけど、それで付き合っても悪い部分が露呈していくだけなんじゃないか。



前日の人妻になった女の子のデートで会う場所となったのは花屋さんだった。そこにはメイクして可愛く決めた女の子たちが、それこそ花のように並んで待ち合わせしていた。その中から目的の女の子を見つけて誘い出す。そこに恋愛の本当の形を垣間見た気がした。



言い方は悪いけど、男は消費者であり女は商品である



選ぶ側と選ばれる側。これが自然の摂理であり、いちばん上手くいく形だと思う。



会社の女の子も相手を選ぶことは出来るんだけど、やっぱり選ばれなければついて来ない気がする。誘われないと行動しない。最後に決定を下すのは男だ。




“好きって言ったほうが負け”



好きだと言われたほうに主導権ができてしまう。たぶん、女の子はその主導権を握りたいんだろう。それが無いと駆け引きができないから。今まで数少ない間接的に告白された経験があるけど、全て待ってるうちに自動消滅するパターンだった。今回も放置しとくとパターンに当てはまる可能性が高い。



自分が好きな人は既に結婚してしまい、そうでもない人と付き合って気を紛らわせる。そう考えると付き合ってくれる人が可哀相だ。



やっぱり、“花”は自分で選んで「好きだから欲しい」と伝えないと、一生それを得ることはできない。もう残り時間はほとんどない。





異性と接触したときに気があると勘違いする確率は女性よりも男性の方が多い



作業をしてひと段落していると後ろから会社の女の子に襲われる。両手で肩を掴まれた。気配すら感じていなかったので、すこしビクッとなる。



「ん?どうしたの?」



彼女のほうを振り向いて冷静を装いながらそう聞くと、彼女から話し始める。



「あのさ、聞いてくれる?」



そして、いつものように話す。だんだんと距離を詰めてくる彼女。好意を持たれるのは嫌じゃないけれど、目を合わせようとしたり、目線を探られるのが怖い。対人恐怖症だし、コンプレックスあるし…。



目を合わせる行為。思えば、ずっと苦手意識がある。だけれど、前日の人妻とデートの件ではすこし良い感じに持っていけた。会話の間に恋人のように見つめ合って「うんうん」みたいな目で合図。それは一度しか出来なかったけど。



基本的に女の子は、目や視線の動きで相手の心を読もうと考えているのかな。あまり目を合わせられないけど、個人的に下から覗き込んでくるようなお姉さんタイプは大好き。「どうしたの?」みたいなこと言ってからかってきたり。



人妻となってしまった女の子に作品集とか見せたら結構ツッコミが厳しくて



「これどういう意味?」


「何でそう思うの?」



とか鋭く執拗に聞かれて虐められたけど、意外と良かった。あまり上手く伝えられず、ふわふわした答えで言い逃れようとするんだけど、ちゃんと「うんうん」と聞いてくれていた。こういう責められ方は嫌いじゃない。今まで出会った人の中で一番賢い人だから、そんな言い逃れの言葉では騙しきれないんだけど、彼女はちゃんと聞いてくれて、指摘されたことは凄く参考になった。



頭の良い人だからこそ、自分にはなびかなかったんだよなーなんてことを考えた。





彼女に言って恥ずかしくない生き方をしようと思う




自分の力でがんばることは苦手だから、人のためにがんばる。そう考え方を変えるだけで前に進むことができる気がする。




明日は人妻とデートの予定。すこしだけ妄想会話を楽しむ。



「久しぶりだね、元気?」


「うん、そっちは?」



なんて他愛無い会話をしてから、背の低い彼女に言うんだ。



「あれ、身長伸びた?」



ちょっと怒って叩くような素振りを見せて、少しだけ微笑む彼女。そのあとに真剣な表情を見せて言う。



「あの時にさ…、もし出会ってすぐにキミのこと、こうして誘っていたら何か変わっていたのかな…」



すこし考えたような素振りを見せて、彼女はこう答える。



「それは、分からないよ…」



世の中はまだまだ分からないことばかりだ。




先日の新人、会社の女の子との3人の会食時にこんな会話があった。




「嫌いなものが多いから、魚介類はダメかも知れない」




自分は好き嫌いが多く、食べれるものが少ないなんて話をした。すると、新人の上司も「もったいないね」なんて言う。




「でも、食べろって言われたら食べますけど…」


「そうなんだ、好んでは食べないんだね」




そんな会話をしていると、自分の隣りに座って彼女っぽい雰囲気を漂わせていた会社の女の子が言う。




「わたしなら、食べろとか言わないし、食べさせないのになー」




優しい彼女らしい答えだななんて思って少し微笑んだ。それにしても飛躍しすぎなような。一体どこまで妄想しているんだろうか…。



そんなことがあって、今日。彼女に対して相手せずにいたら、ふと呼ばれた。



「あのね、用はないんだけど…」



そんな会話のキッカケをつくり、愚痴をこぼして弱いところを見せる彼女。守ってあげたいけど、守りきる自信のない自分。そんな互いの内面を見せないような他愛無い雑談をする。



自分はもう必要ないのかも知れない



彼女に対してそんな態度が表に出てしまい、特に親しい感じもなく会話も終わる。彼女を冷たくあしらっていたせいか、今日は新人の上司にいろいろ相談していたようだ。




「冷たいのか温かいのか分かんないね」



以前、彼女から言われた言葉。たぶん、本当の意味で自分を必要としてくれるなら頑張るけど、他の人を必要とした時点でどこか気持ちが冷めてしまう。考えが子供っぽい。必要とされた経験があまりないし、男女の関係も経験がない。どう接して良いのか、どこまで踏み込めば良いのか分からない。



「そうなのかな、経験ないから分かんないよ…」



たとえ付き合っても、そんなセリフばかり言って逃げ切る関係になるんだろうな…。





GW明けに新入社員、と言えるほど若くない中堅の新人が入社した。



「最初なんで、一緒にお昼に行きましょうか」



会社の女の子と自分、そして新しい人の3人でランチをしに行く。適度な距離感を保ちつつ、上手く話題づくりをして上辺だけの話を弾ませる。そして、彼女と2人きりのときに話をした。



「で、仙台に帰ったんだけど、全然寒いからコタツとかまだあったよ」


「そうなんだ…。こっちでは、コタツ買ったりする予定ないの?」


「今のとこないかな…。家が快適すぎると出歩かなくなるじゃん」


「あー、わかるわかる。」



そう彼女は同意する。最近彼女と話すと、わりと「わたしもだよ」なんて同意されることが多い。合わせてるだけなのか、それとも本当なのか…。そんな見極めが大事だよな、なんて思いつつ会話を続ける。



「コタツじゃないけど、今はテーブルが欲しくていろいろ探してるんだけど」


「どんなの?」


「えっとね、4メートルくらいので広々と使おうかなって」


「あはは、なんか隅っこで食事とかしそうだね」


「うん。それとソファも欲しいかな、やっぱり家に居るのって結構好きなんで…」



そう言うと彼女は頷きながら、



「わたしも家にいるの好きだよ」



笑顔で同意する彼女。たぶん、彼女はそんなタイプの人じゃない。わりとアクティブな方だと思っていたので、どこか納得がいかない。




“女子同士の会話は同意をしていれば話が弾んで相手に好印象になるから、男女で話すときも男が同意をしていればモテる”



そんな、どことなく信じがたい情報を思い出す。もう何でも同意。そうそう、そうなんだよね。何でも同意してれば会話が弾む。



「じゃあ、わたしも!」


「なら、自分も!」



そういう会話していれば全然問題ない。



「それなら俺も!」


「どうぞどうぞ」



なんてことは実際ない。




GW帰省時に「てのひらの迷路」を読んでみた。この短編集は自分の経験を小説のように演出して書かれたような話が多い。そのため、簡単な日記を付けてる自分にとって面白く読めた。




てのひらの迷路 (講談社文庫)

てのひらの迷路 (講談社文庫)






特に「ひとりぼっちの世界」とか、「コンプレックス」とか会話形式で進むような話は読みやすいし好みだ。今後の日記の参考にしていこう。日記なんていくら嘘書いても良いわけだし、物事を正確に伝えることが重要ではない。普段の仕事は正確に伝えなきゃいけないものだから、逆に日記は歪ませても大丈夫だろう。




女の子のために行動するのって嫌いじゃない。



最近になって、そういう性格なんだと思うようになった。前段階でがんばっちゃうタイプ。そこで体力消耗して、本番で疲れて冷めていく。飽きっぽい。だから、妄想してる段階がいちばん楽しいと思ってしまう。



自分の内面の芯の部分。そういうとこを見せたくない恐怖心から、相手には冷めた態度になる。だけど、前段階では見えない努力をしていて、それが相手から見えてないから報われない。いや、それが暗いって意味なのか。相手に聞いて一緒に決めれることも、わりと自分で決めてあげるのが好きだし。



そんなんで、GW明けに変更になった前の会社の女の子のためのデートコースを設定してきた。月初めに予定を決めようと彼女に電話してみた。



「うーん、ちょっと先に延ばしても構わない?」


「え、ああ。別にいつでも大丈夫だよ」


「そっか。じゃあ…」



と、考え込む彼女。数秒~数分くらいの間をおいて、彼女が言う。



「10日で良い?」


「うん、良いよ。」


「ごめんね、わたしも会うの楽しみにしてるんだけど…」


「…あ、自分も会うの楽しみにしてます」



ちょっと申し訳なさそうに言う彼女にこちらの本心を伝え、さらに続ける。



「そう、変更ついでに場所も近いとこで全然良いよ」


「ふーん、優しいんだね」



だって。妊娠中だからいろんな場所を連れまわす訳にはいかないし。



そうやって人に優しくできる気持ちも彼女から貰ったものだと思っていて。自己中心的な優しさじゃなく、相手を気遣う優しさ。自分のためじゃなく、人のために行動する。彼女からは本当に良い影響を受けたと思う。仲良くしてくれたし、自分の人生のなかでも大きな出会いだった。男女の関係とか、そういうのを超越しているのかも…なんて、一方的ながら感じているんだけど。



いろいろ歩いてみたけど、ルミネは結構楽しい。デートコース設定だけのつもりが、探索ついでに雑貨なんかを見て歩いて、さらにはデザイン用の紙などを買って充実した一日だった。自分らしくない。





「未経験じゃまずいんじゃない?」




年齢上、経験しておかなければならないことがある。身に付けておかなければいけないスキル。選ぶ道は多様で構わないけれど、誰もが通らなければならない道。それを逃して進んでいる自分。このままで良いのか。



上を見ればキリがなく、下を見てもキリがない。自分で自信がある部分も、人から見ればまだまだ未熟で人に向かって偉そうなことは言えない。仕事はむずかしい。



1年のブランクがなければ、経験できたことかもしれない。その空白が自分をどんどん臆病にしていく。いつも自信がもてずにいるし、だから女の子にもモテない。




「経験してみたけど、意外と大したことなかったよ」




なんて言える日が来て、いつか自信をもって胸張って仕事できるようになれるかな。ついでに恋愛の未経験の部分も経験できれば、人として成長できたり…。




「年齢のわりに落ち着いてるね?」




何故かこう言われることが多い。たぶん、覇気がないんだろうな。元気がない。暗い。



誰にでも愛想振りまくタイプじゃないし、わりと何でも淡々とこなす。仕事とプライベートは区別するし、そんなに他人に興味がない。基本的に卑屈だから、興味深くあれこれ詮索されるのも好きじゃない。ていうか、軽く人間恐怖症だし、目とか見れない。とにかく冷めてる。自分の過去を思い出せば死にたくなるようなことばかり。何事も上手くいかない。



でも不思議と他の人よりも多少仕事が出来て、たまに凄いねって誉められるくらい。他の部分は全然ダメだけど。だから、仕事を否定されると存在否定された気持ちになって落ち込んでしまう。




“KEEP SMILING”