karin: May 2009アーカイブ



クライアントへの代行を会社の女の子にお願いした。


彼女が戻ってきて、返事を聞き終えてから彼女に声を掛けた。




「あのさ、雨大丈夫だった?」




そう心配しながら言うと彼女は微笑んで見せてから、冗談っぽく言う。




「もう靴までびしょびしょだよ」




そんなやりとりがあったせいなのか、飲み会に誘われた。


上司を含んだ3人で仕事帰りに飲み屋に寄る。


その席で彼女は上目遣いをするようにしながら質問を投げかけてきた。




「キミは草食だよね?」


「うーん…。まあ…、そっかな…」


「そうだ、あの子なんか合うんじゃない?」




と、最近一緒に仕事する機会の多かった女の子を薦められた。




「いや、全然…。」


「ふーん…」


「むしろ彼女が、こっちをタイプじゃないと思ってるんじゃないかな?」




そんな答え方をした。


2人はそれを否定し、付き合ったら上手くいくと何度も説得されたけど…。



そのあとで話題を出した子を含む会社の女の子3人で


付き合うなら誰?といった、お酒の席にありがちな質問を受けた。


質問を上手く避けて前の会社の好きだった女の子の話しをすると、


彼女は物珍しそうに聞き耳を立てた。



自分は話題を出した彼女のことが好きなタイプだから心境は微妙だ。


そのあと帰りの電車で別れる際に、彼女に挨拶をすると、




「うん、お疲れー」




と返事をされたあと、去り際の背中を手の平でバーンと叩かれた。


何これ?何のフラグ?





「メール見た?」




席にやってきた会社の女の子に唐突に聞かれた。




「めーる?」


「うん」




そう笑顔で頷いてから席に戻る彼女。


鞄からPHSを取り出して見ると未読メールの表示。




今日お昼ご飯付き合ってもらっていい?




そんな内容だった。いや、まさにそれだけ。


顔文字とか絵文字とか一切ない男っぽい文章。



「どう?」そう聞く彼女に「いいよ」と答えた。



そのあとで彼女は馴染みの店を提案してきたけど、


逆に美味しいピザ屋を彼女に紹介して連れて行った。



そんな感じでいつもの展開。


愚痴を聞いたり当たり障りない会話をするだけ。



自分が考えている恋愛とか女の子とか、


理想とする形なんて現実にはありえなくて、


そこには日常の延長でしかない退屈が待っているのかもしれない。



そんな思いで少し不安になった。




服を買いに行ってきたのだけど、サイズがほんと合わなくて困る。


世間のメンズはどんだけ大きいんだよ…。


あきらめつつ服屋をまわって、店内を見ていると声をかけられた。




「こちらのサイズもいろいろありますので…」


「ええ。」




なんてろくに目も合わせずに返事をする。


その場でさらに見ていると、また声をかけられる。




「ご試着もできますので、良かったらどうぞ」


「はい。」




そう返事をして相手を見ると、何となく見覚えのある雰囲気。


見覚えのある低い身長で、愛嬌良く笑顔を作る女の子がいた。


知り合いじゃないけれど親近感の沸くタイプで、


前に仲の良かった女の子を思い出す。



それであれこれと服を選んでもらい、10分くらい相談する。


その子は歯列矯正中で、笑顔のたびに歯の強制器具が見えた。



貢ぐような感じで2点ほど服を購入し、


帰りの電車であんな感じの子が可愛いなと感じた。


と同時に、もっと話してみたいとも思った。



仲の良かった子に似ていたから好きなのか?とも思うけど、


久しぶりに行動を起こすべきかも。


とりあえず来週、暇ならもう一度行ってみようかな。



まず名刺をもらおうと思う。


それで、次くらいに喫茶店にでも誘えれば…。




帰るときに会社の女の子に挨拶をした。


彼女も普通に挨拶を返して目が合うのだけど、


会話もなくそのままタイムカードを押しに行く。



すると彼女は思い付いたように大声で叫ぶ。




「あ、ゴミ!」




振り返ると彼女は慌ただしくゴミ袋を用意していた。




「何か忘れてると思ったんだよね」




そう呟いて、各自のデスクにあるゴミを集めはじめる。


そんな彼女を手伝って、集めたゴミを抱え、エレベーターに向かう。



そこで冗談っぽく彼女に言う。




「いってきまーす」




そう言うと彼女は楽しそうに聞いてきた。




「帰ってくるの?ねえ、帰ってくるの?」


「いや、帰ってこないよ」




そう冷たく言い放って連休前の会話終了。


一生帰って来ないってのもありかな…なんてことを連休前に思うのだった。