理想



「起業資金を借入れしたいんですけど」


「OK。じゃあ口座に振り込んでおくから、設備の見積り書と事業計画書を準備してね。後で面談もするから目的以外にお金を使ったらダメだよ」




現実



「起業資金を借入れしたいんですけど」


区役所「こういう制度なので中小企業診断士紹介するから。問題なければあっせん書作るよ」


中小企業診断士「じゃあ週に一度、計4回相談に来てください。言うとおりにしないと診断書書いてあげないよ」


地元信用金庫「診断書とあっせん書もらったら、うちにも資料ください。他の資料も必要だから準備してね。そうそう、うちに口座開かない?ついでに積み立てしてね」


信用保証協会「借入れしたい?まずは書類審査したいから1ヶ月待っててね。その後に面談したいから予定あけといてね」




ふざけんなこら。



3月から各社に設備の見積り依頼してるのに、借入れの申請結果出るまで7月後半になるとか時間かかりすぎだろ。どんだけたらい回しだよ。スムーズに申請をできるように制度の整備しとけよ。



資金の調達スピードは重要なのにこれじゃダメだろ。起業日に借入れできるようなシステムかと思ってたら、そこからさらに2ヶ月待たされる。先に設備を買ってはいけないって制限もあるし、全く身動きとれない状態。営業かけて依頼されても設備がないから対応できないとか何の冗談だ。



もうこの夏はニートするしかない。


けいおん!


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昔の書類を整理していたら、以前好きだった女の子から貰った結婚式の招待状を見つけてしまった。3年前に喫茶店で近況報告してから一度も会ってないし、連絡するようなこともなかった。



それで近くを通りかかるついでに訪ねてみようと思いついた。いや、実際は近くに用事なんてなかったから少し気味が悪い趣味なんだけど。




『もし今でも住んでいたら後で手紙を送ろう』


『もし住んでいないようなら過去を忘れよう』




彼女は結婚した後、何度か「家に遊びにおいでよ」と誘ってくれたけれど、既に彼氏と同棲していると教えられていたし、彼女が寿退社した後で、それを追うように自分も会社を辞めたため、次第に疎遠になっていった。そんなことを思い出していた。



そして、彼女が過ごしていた家に向かって歩き出した。



マンションを見つけて部屋番号のポストを見た。そこには知らない苗字が書かれていた。彼女の苗字でも、彼女の夫の苗字でもない。それを見て安心してしまった。



もし彼女が別れていたら嫌だと思ったし、何も知らなければいつまでも幸せな彼女の姿や表情を思い出せる。だからきっと今はこれで良い。そしていつまでも過去にすがる訳にはいかないんだと自分に言い聞かせた。



そんなリアル秒速5センチメートル。



代田橋



帰りの電車で気付いて音楽を聞いた。『One more time, One more chance』。たしか、あれもこんな心境を描いた曲だったと思い出した。




「いつでも捜しているよ どっかに君の姿を


向かいのホーム 路地裏の窓 こんなとこにいるはずもないのに」




電車の中で外の風景を眺めながら聞いていたら、これまで彼女といたことを色々と思い出した。何年か前に会ったとき、花屋で待ち合わせたことや、「またね」と最後に挨拶した場所。意外と覚えているものだなと感じた。




『これからは前を向いて生きていかなければならない』




そう決意して久しぶりに音楽を買ってきた。



ハクア



ハクアー!好きだああああああああああああああ!


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金融機関に口座を開きに行く。



新規口座に1万5千円入金しようとしたところ、5千円札がなく、千円札も足りない。財布の中には1万円札が4,5枚しかなかった。窓口も閉めてしまったようで、店舗での両替ができそうになかった。なので仕方なくこう提案する。




「じゃあ外でお金崩してきますね」




すいませんと言う担当者を背にして外に出た。ところが近くにコンビニがない。本屋はあったけれど、欲しい本もないしなと、迷ったあげくスタバを発見して入店する。



女性の店員の前で爽やかに笑顔で挨拶。




「こんにちは」


「いらっしゃいませー」


「お聞きしたいんですけど、先にお金だけ支払って、後で商品を受け取ることはできますか?」


「できますよー、どのくらいですか?」


「20分くらいだと思います」


「分かりました。ではこちらの紙にお名前と電話番号を…」




そしてメモを書き置きして注文。1万円札を支払ってお金を崩した。それから金融機関に戻って用事を済ませる。



数十分後、再びスタバへ注文を受け取りに行く。店内に入ると伝えておいた女性の店員さんと遠くで目が合った。向こうも「気付いたよ」と言うように、ニコリと笑顔で挨拶。目を合わせたまま彼女に近付いて言う。




「先ほど注文した者です」


「はい♥」




そうハート混じりに答えた店員さんが、こちらに背を向けて叫ぶ。




「ホットトールキャラメルマキアートエクストラシロッププリーズ!」




これだけなのにリア充気分を味わえた。だから、スターバックスは素晴らしい。そんな昼下がりを過ごした。


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慌ただしく日々が過ぎていく。そんな中で無理やりにでも目的を見つけ、行動をしていたら相当疲労していたみたいだ。なので、休むことも仕事のうちだと言い聞かせて土日は完全に休息。月曜から再起動。


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法務局に行くときは開庁後すぐに行った方が良いと聞いたので、急いで行ったのだけど意味がなかった。前日に区役所に行ったり見積もり取りに走ったりと体力を消耗しきっていたので開庁後に即提出という夢は叶わなかった。けれども、午前中の早い段階で法務局に到着。



3階まで階段を駆け上がって窓口で「おはようございます」と挨拶してから書類を提出。その場で印紙を貼り付けて渡して手続き完了。この間わずか30秒。




「それでは内容の確認をしますので、また来週いらっしゃってください」




と言われておしまい。このあっさり感である。



先日の中小企業診断士との相談で、「何で起業前に営業活動しないのか?」と散々問い詰められたけど、PCも何もない状態でどう仕事するっていうんだい。何のための起業融資なんだと不思議な次元に迷い込まされたわ。



事務所契約と同時に全て揃えようと前もって準備はしてたけれど、現実は計画通りとはいかないらしい。



ここからは自分勝手な想像だけど、善行をする人は金銭や報酬に無頓着であるからこそ、社会的に良い企業が生まれてこないのかも知れないと思った。誰も起業してまで善い行いをしようとは思わない。その無関心の結果、起業制度は悪巧みをする人ばかりに利用され、知らない間に上層部はお金に意地汚い集団になっていったとか…。



もちろん妄想の域を出ないけど、現実に若者にはお金が回ってこない。仕事をできる人は多くいるけど仕事をつくる人が足りない…のかな。じゃあ、仕事をつくるのは若者の役割なのか、それとも既得権にいる人たちがサボってるだけなのか。



こんな状況を一言で表すとこれしかないな。




『こんなの絶対おかしいよ』



60377




15万円


この切手と15万円が等価なんて信じられないけれど、15万円を出して購入してきた。たぶんこれから一生見る機会もないと思う。明日はこれを持って法務局で登記申請。ここまで意外と難しいところはなかった。



設立方法の本をいくつか読んだだけなのに、本当に1人で設立登記が完了できそうだ。専門家に依頼すると楽できるらしいけど、自分でやるというのは良い経験になった。数年前まで、まさか自分が起業するなんて思ってなかったので感慨深い。



さて、明日は会社設立記念日だ。


60330




仕事をするときに人は6種類に分類されるらしい。




白=事実を述べる人


緑=想像力を発揮する人


黄=ポジティブに考える人


黒=問題点を指摘する人


赤=感情で訴えかける人


青=秩序を重んじる人




というのをNHKスタンフォード白熱教室という番組で放送していた。これは以前言及した本の著書、ティナ・シーリグが授業する様子を取り上げたものだった。


Eden of The East - 迎撃blog



そして先日、中小企業診断士との相談に再度訪れた。前回ほとんど話を聞くだけで、こちらからの主張は控えてたので、今回は逆に主張していこうと色々と準備して臨んだ。彼は言う。




「家具の資金こんなに必要なの?安い中古ショップもあって、これより安くすることができるよ」




オフィス用家具について少々高めの見積りを提出していたので、その点を指摘された。それについてこう答える。




「でも、デザインの仕事依頼に行って、安っぽいダサいオフィスだったらセンスを疑われますよね?」




すると彼も納得したようで文字通り「ぐぬぬ…」って顔された。あれこれ話している間に、きっと彼の仕事は『黒=問題点を指摘する』に偏っているんだと思った。



黒であることは悪くないんだけど、考え方がネガティブに陥っていたので、逆にこちらも主張を強めにしながら具体策をあれこれ提案した。彼の年齢が60目前なので、歳の差から信用しにくい気持ちは分かるのだけど。



彼はしきりにQBハウスの戦略性について話したけれど、それは成功したから語れるだけであって、もし起業前のQBハウスが相談にきても不満そうにするだろうなと思った。



1時間半に渡って相談した結果、一応は納得してもらえたようなので次回は書類を提出してくださいと言われた。それでも最後は「不安だなぁ…」と漏らしていた。これで審査が通れば良いけれど、どうなるかな。



話していて思ったのは、自分には『赤=感情で訴えかける』という部分が弱いのかなと感じた。情熱で進もうとしない、理屈じゃない主張が少ない。けれど起業の場合は情熱の部分が重要となってくる。これがないと行動的になれないし、情熱のない人には誰もついていこうとは思わない。もちろん、情熱だけではなく他の色も必要になってくるけれど。



そういう様々な角度からの物の見方。視点を変えて考えるのは良い授業だと思った。


60145





C 第3話『conspiracy』より引用



三國壮一郎が主人公に向かって言うセリフ。


C




「キミは普通が良い、安定が良いとばかり言っている。それは、自分だけのためにお金を稼ぐということだ。金とは自分ではない何かのために使ってこそ尊いと俺は思う。キミにはないのか、その何かが。」




これまで親の世代から言われてきた安定や、普通を手に入れるのが意外と難しいことに気付いた人が多いのだと思う。だから安定や普通なんて大して魅力的じゃないよと。その上で、お金をどう使うのかを問いかける。このアニメで言えば、とりあえず家族を守るためとしていたけれど。



それから、こう続ける。




「キミが金を使えば誰かを潤おす。貯め込んでいれば幸せなのはキミだけだ。ささやかな幸せはキミを幸せにしても周りに大きな幸せを振りまくことはできない。」




ここに共感というか、良いセリフだと思った。



たくさん貯金して、その金額だけで勝負して一喜一憂してる人たちがいるけれど、そこに意味はない。貯金額はただの数字で評価の基準ではない。人生はずっと続くように思えるし、将来が不安だから過剰に貯金をする気持ちもあるけど、死んだら表面上はゼロになってしまう。そのときに後悔したってもう遅いよと。



本当にお金の使い方は難しい。貯めるのは誰でもできる。逆に使い方については、たぶんほとんどの人は下手だ。



ここでは貯金を全くせずに浪費しろということではなくて、何かのため、誰かのために使いたい。そう思ったときに使ってこそお金の価値があるのだと言っていたけど。



自分が貯めたお金を使うときに考えたのは事業を興すために使うことだった。どうせ自分のお金だし、自分が正しいと思うもののために使い、それによって周りを幸せにしていければ良いと思ってた。



ただ口座に死に金を置いておくよりずっと良い。そんなことを考えて事業を興すための行動をしていたときだったので、運命的な何かを感じてしまった。


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事業資金の調達に行ってみた。



中小企業診断士と面談して書類を作ると良いことがあるらしいので話してきたのだけど、思いのほかふるぼっこにされてしまった。



つまり、1つは有力な人脈がないこと。仕事を貰いそうな見込み客があれば良いけど、どうやって見つけんの?という話。それと、もう1つは事業としての優位点がないこと。どこに需要があるのか考えてもらいたいと…。なかなか簡単におっしゃってくれる。



結果的に営業は大変だよって脅かされたような感じだった。



優位点はずっと考えていたけど、改めて聞かれると色々考えすぎてしまって言葉に詰まってしまった。先に人脈とか営業について突っ込まれたので言い難かったこともあるけど。とにかくシンプルで言いらしい。じゃあ、これだな。




『デザインによる企業のブランド化』




これを人件費を掛けずに低コストで実現することで差別化を図っていく。ハードルは高いけど、あとは実力勝負でいくしかない。大手広告代理店と競合し、遜色ない品質であれば問題はない。そしてこれは意外と勝てる見込みはある。



人脈については何とも言えない。とにかく最初は総当りでしかないと思っていて、最初の1人を見つけて、その人から広げていくことを考えてる。自分の人脈ではなくて他の人脈を辿れると思うのだけど、これを書類に書くのは適さないかも知れない。



人脈なんて、それこそ仕事で広げていくしかない。こんな言葉をどこかで聞いた。




『今の仕事を最後だと思って最高のものに仕上げること』




そうすれば自然と良い仕事ができ、それがまた別の仕事に挑戦する機会をもたらす。そういう仕事を通した実力を信じていくしかない。それはこれまで様々な場面で目にしてきているから間違っていないと思う。



あとは事業を興して仕事をする機会が一度あるかどうか。これはさすがに1年あれば1件や2件することもあるだろ。それは馬鹿にしすぎだって。…え、いや、ある…よな?ないわけが…え?ないの?



みたいな追い込まれる心境になったわ。


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東のエデンで滝沢朗がよく口にしていたセリフ。




「一発ぶん殴ってやらなきゃ気がすまない」




今の世界的な動きというのは権力への反抗だと思っていて、自分が会社を興す理由もそこにあるんじゃないかと考えた。都心の一等地のどデカいビルで、椅子にふんぞり返って偉そうにしているおっさん。世界はそういう権力に立ち向かっていこうとしている。



世の中は不思議に出来ていて、100万円で仕事を頼むと、半分はそのおっさんの懐に。そして、残りの50万を若者が何人かで分け合って仕事をすることになる。



おっさんは何もしてないのに50万の儲け。そんな理不尽な構造に対して、おかしいと気付いていても誰も何も言わない。それを受け入れて認めてしまうのも嫌なので何かしたかった。



それから時が経ち、予算削減で100万円は払えないからと80万円で仕事を頼むと、おっさんは自分の懐には50万円。残りの30万円を若者何人かで分け合って仕事させよう。割と真剣にそんな感じだと思う。決して40万ずつで分けようなんて思ってない。




「え、じゃあ今30万円で仕事やってるけど、おっさんを無視しちゃえば差額の50万円は依頼主と折半できるんじゃね?」




そういう考え。コストを抑えようとして、おっさんに頼むからおかしなことになる。



数も圧倒的に多くて、氷河期もなく育ち、ぶくぶく太ったおっさん達にこれ以上協力する必要はない。それが、都合よく利用される不安を語った東のエデンの森見咲ちゃんのセリフに重なって見えた。


物語のはじめかた - 迎撃blog



そもそも今の地位にいる権力者って二世や三世ばかりで、その地位を築いた人物は少ない。そういう権力者がいかに無能なのか、ネットで暴かれ始めたことで革命が起きたりするんじゃないかなと。



東のエデンをつくった神山健治監督の言葉で、曖昧ながら覚えているのが「そういった不正を暴こうとキャリアを重ねてきたけど、不正をする者はなく、自分の責任ばかりが大きくなり、結果として爆心地に近付いただけだった」と語っていた。



自分もおっさんをぶん殴るために起業してみたけど、自分が想像したようなおっさんはいなかった。そんな結論に辿りつくのかも知れないけど、行動してみないと何も分からない。




「一発ぶん殴ってやらなきゃ気がすまないからさ」




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