ひも
ひもでした。
今日は何となく雑談なんかする暇もあって、会社の女の子と色々話していた。不満や愚痴や私生活であったことなど。彼女の仕事も上手くサポートできて、感じが良かったので誘ってみた。
「それで、来週さ…。」
と、彼女の目を見る。半分は無意識だったため彼女の表情までは読み取れなかった。そして「うん」と頷く彼女。
「デートしない?」
と、再び彼女の方を見て言う。言ってしまった。もう死ぬ。断られて死ぬ。なんて、軽い恐怖の気持ちが始まりそうだったけれど、意外に早い段階で彼女が応えた。
「うん、いいよ」
あれ、なんかあっさり。あまりに迷いもなくOKされて戸惑う。え、え、良いの?デートだよ?男女の関係だよ?でもでも…。
「まあ、デートって言っても自分の仕事で作ったパネルとかブースを見に行きたいなってだけなんだけど…」
「うん、良いよ。わたしも、展示会とか結構好きだし…。」
こう、女の子を誘った場合の反応ってみんな似ているなと感じた。なんだか話を合わせたがる。いや、誘った経験なんて数えるほどしかないんだけれどさ…。って言うか、疑心暗鬼?
でも、約束を取り付けて一応上手くいった。これで来週頑張ろう。
そう張り切って帰ろうかと準備していると、彼女に言われる。
「今日はまだ帰らないの?」
「うん、まだもう少しあるし進めておく予定だけど…」
「わたし、もう今日は疲れちゃってるから帰りたいなー」
「良いんじゃない?無理することないし、帰って良いと思うけど?」
「うーん…」
と、また彼女は席に戻り仕事を始める。また、無理してるなーと思って彼女を帰らせようと策を練る。30分くらいして、自分が帰ることに決めた。
「じゃあ、帰ります」
なんて話を切り出すと、彼女も
「わたしも」
なんて上手く話をあわせてくる。前もって合わせた訳じゃないのに、ふしぎ!冗談半分で話を進める。
「じゃあ、電車のとこまで一緒に帰る?」
「うん、帰ろう。先に下の階降りて待ってて…」
で、待つこと数分。じゃあ、帰る。と歩幅を進めて行くと彼女がこう切り出してきた。
「あのね…」
「うん?」
「面白いお店があってねー」
「面白い店?」
「そう、たぶん行ったら驚くよ?行かない?」
「…うん、別に良いけど」
なんて、彼女に誘われて行ってみたら飲み屋さんだった。ほんとお酒大好きらしい。普通にデートもしたことないような男子が女の子と2人っきりで飲み会。たしかに面白い。そのまま雑談をしながら食事をして色んな、「好きなもの」の話で乗り切った。
「あとね、もっとみんなに心を開いた方が良いよ?わたしとも、こうして話せてるんだから…」
とアドバイスもされる。別に閉ざしてるわけじゃ…なんて曖昧に答えておいたんだけど…。それでお会計。会計持ってレジ行くかと会計を取ろうとしたけど、彼女に取られた。代わりに彼女に「傘持ってよ」なんて言われる。ちょ、待てよ!
まあでも、お会計の半分くらいは出しておこうと千円札数枚を握り締めレジに出す。準備良いね!なんて気分良くレジにおいたんだけど、彼女に戻された。
「これは、持っといて。」
「うん?」
「最初くらいは、わたしに払わせてよ」
「いやいや、半分くらいはさ…」
と、彼女はレジにカードを出す。
「これで」
おっとなぁー!カードで出されたら、野口英世も黙らざるおえない。いや、でもさーなんて言ってたら彼女も上手く逃げようと自動販売機を指差して言う。
「じゃあさ、タバコ買ってくれる?」
「う、うん…」
ああ、勝手に身体が動いてしまい、買ってる隙に会計済ませやがった。これは、あれですよ。ひも。以前に彼女とランチに行ったときも、たしかに彼女はそういう雰囲気をもっていた。甘えたらお金払ってくれそうな可哀相なタイプ。
「ひも。今日からひもになりました。」
とか言ってる場合じゃなくて、金額相応のプレゼントにしてお返ししよう。しなきゃな。ひもはマズい。
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