秒速5センチメートル
昔の書類を整理していたら、以前好きだった女の子から貰った結婚式の招待状を見つけてしまった。3年前に喫茶店で近況報告してから一度も会ってないし、連絡するようなこともなかった。
それで近くを通りかかるついでに訪ねてみようと思いついた。いや、実際は近くに用事なんてなかったから少し気味が悪い趣味なんだけど。
『もし今でも住んでいたら後で手紙を送ろう』
『もし住んでいないようなら過去を忘れよう』
彼女は結婚した後、何度か「家に遊びにおいでよ」と誘ってくれたけれど、既に彼氏と同棲していると教えられていたし、彼女が寿退社した後で、それを追うように自分も会社を辞めたため、次第に疎遠になっていった。そんなことを思い出していた。
そして、彼女が過ごしていた家に向かって歩き出した。
マンションを見つけて部屋番号のポストを見た。そこには知らない苗字が書かれていた。彼女の苗字でも、彼女の夫の苗字でもない。それを見て安心してしまった。
もし彼女が別れていたら嫌だと思ったし、何も知らなければいつまでも幸せな彼女の姿や表情を思い出せる。だからきっと今はこれで良い。そしていつまでも過去にすがる訳にはいかないんだと自分に言い聞かせた。
そんなリアル秒速5センチメートル。
帰りの電車で気付いて音楽を聞いた。『One more time, One more chance』。たしか、あれもこんな心境を描いた曲だったと思い出した。
「いつでも捜しているよ どっかに君の姿を
向かいのホーム 路地裏の窓 こんなとこにいるはずもないのに」
電車の中で外の風景を眺めながら聞いていたら、これまで彼女といたことを色々と思い出した。何年か前に会ったとき、花屋で待ち合わせたことや、「またね」と最後に挨拶した場所。意外と覚えているものだなと感じた。
『これからは前を向いて生きていかなければならない』
そう決意して久しぶりに音楽を買ってきた。
ハクアー!好きだああああああああああああああ!
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