October 2008アーカイブ



仕事で使う書類を誰にでも使えるようにまとめる。


それは会社の女の子が聞いてきた場面を想定して、



「どうして、こんなにまとまってるの?」




そう聞いてくる彼女に



「いや、自分がいなくなっても大丈夫なように…」




そんなことを言って、不安にさせるのが大好き。



「え、辞めるの?辞めないよね?」




こんな風に心配されたり、構ってもらうのがもっと好き。


でも、そんな風に言ってくれるとも思わなくて、



「次決まったの?どこ?」




なんて冷たく聞いてくるに違いない。



彼女が仕事で泣きそうになっているときに


心配して声を掛けたことがあった。



「大丈夫?泣きそう?」




すると彼女は苦いものを食べたような表情を作り



「わたし、あなたの前で泣いたことあったっけ?」




と、彼女自身のプライドを優先させた。



数ヶ月後、あたらしく上司が来たときには


今にも泣き出しそうな顔で相談をしていた。


上司と2人きりで話すときは泣いていたんだと思う。



相変わらず信頼されない自分と、


そんな女の子にうんざりだ…。




会社の女の子が久しぶりに休んだ。


昨日の雑談の中で彼女はこんなことを言っていた。



「あの貰った貯金箱、役に立ってるんだよ?知ってる?」




そう人差し指を立てながら言う。


貯金箱は誕生日プレゼントとしてあげたもので、


あの頃は良かったなんて懐かしく思う。



「どうして?」




そう彼女に聞くと、笑顔で嬉しそうな表情で答える。



「今はね、万札とかもはいってるんだよ!」




その彼女の言葉に「凄いね」と感心するように答えながら、


今後は彼女にプレゼントをすることも無いだろうと考えていた。


すき間

| | コメント(0) | トラックバック(0)



上司が仕事で出掛ける間、会社の女の子との2人体制に戻る。


感情は冷めていたけど、彼女の反応を楽しみにしていた。



「やっぱり性格とか合わないと思う」




こんな言葉を使おう、そう考えていた。


しばらくすると無言の圧力に屈したのか彼女が言う。



「あのさ、これ分からないんだけど…」




丁寧に説明をして早々に会話を切り上げる。


さらに数分後、暇をもてあました彼女が再びやってきて言う。



「今、何やってんの?」




これも丁寧に説明して早々に会話を切り上げる。


自分からは話題を切り出さず様子を見ていると、


彼女は雑談をしたがるように質問を投げかけてきた。



「なんか雑誌とか本とかない?勉強したいんだよね…」




彼女に何冊か本を渡すと話題を拾いながら話しかけてくる。


何かのキッカケでお互い宮崎駿の特集番組を見ていたことが判明し、


30分程度の雑談をした。



久しぶりに女の子と喉が渇くほど話したと思う。


それでも彼女に対して前のような気持ちにはならなかったし、


打算的なその行動に小さく失望をした。



彼女が言った言葉。


クライアントのもとへ行く仲間に対して質問をする。



「そこに、若い人はいないの?」


「オジサンばっかりだよ」


「そっか…」




彼女は残念そうに言う。


自分が異性として評価に値しないことに絶望した。


いっぺん、死んでみる?



彼女と2人で雑談していたときに、こんな質問をされた。



「キミは何してるときが一番楽しい?」


「うーん…」


「なぁに?」




その問いに上手く答えることができなくて、


「難しいこと聞くんだね」と返して会話は終わったけれど。


何度か考えてみて思いつく。



「キミは何してるときが一番楽しい?」


「寝ること(性的な意味で)」




よし、死ぬか。


無関心

| | コメント(0) | トラックバック(0)




「無関心でいたいんだ…」




そんなセリフを言う主人公がいた。


その作品を見ていないのでどんな状況で言うのか詳しくは知らない。


けれど最近は、この主人公のように無関心を徹底している。



会社の女の子は休憩のたびに信頼する上司を誘う。


2人で相談し、2人で仕事の依頼を聞いて2人で解決する。



たぶん、今の自分が彼女に頼られることはないだろう


彼女から相談に来ることもなく、会話さえも少ない。



良いんじゃないの?上司を頼れば。




そんな冷めた考えでいるし、表情や態度に出るからモテない。


どちらにしても彼女が選んだのは上司だったし、


あの最低な時期に助けてくれるなら誰でも良かったんだと思う。



彼女と上司の夫婦ごっこに呆れながら


マイペースに仕事をして、ほとんど関わらずにいる。




“女の子に期待したって仕方ない”




彼女は「オジサンに好かれる」と何度も口にしていたけど、


きっとそれは好かれるんじゃなくて、彼女自身オジサンが好きなんだろう。



だから恋愛未経験記録がまだまだ更新する気配だ。


CASHMERE




習作



1年間。



そのあいだ現実逃避をするように絵を描いていた。


生活も保障されていたし、時間も有り余っていた。



その頃を思い出し、ファイルを引っ張りだした。




“量は感動をもたらす”




たくさん描いていたけど理想の絵にはならなかった。


けれども必死で毎日描いていて、


理想の線を探して描いた紙の枚数に小さな感動を覚えた。




絵を描くことは楽しい。




まさにそんな想いを伝えてるようで、


あの空白の1年間も悪くなかったと今になって思う。



最近は時間があっても浪費しているけど、


絵を描く時間を作るのも良いかもしれないな。





「まだ、いそがしい感じ?」


「うん」


「じゃあ、後にする…」


「なんか今日、わたし機嫌悪くてね」


「そっか…」




あからさまに不機嫌そうな表情をする会社の女の子。


どうしようもない彼女との二人の関係。二人の会話。




「なんか嫌じゃない?夫婦ごっこみたいなことしてさ」


滅入る - 迎撃blog




そう言った彼女の言葉を思い出す。



他人の嫌いな部分は自分がそれを持っていないから。


それを証明するように、彼女は上司にベッタリくっ付いてる。



彼女と上司が路肩で休憩しているときに側を通りかかって、


気付かないフリをした後、こんな嫌みを言おうとした。




「夫婦か恋人同士だと思って気付かなかった」




言えなかったけど。


におい

| | コメント(0) | トラックバック(0)



会社の女の子が席に来て仕事の説明をはじめた。


けれど、彼女から発せられる匂いが気になって言う。




「なんか、すごく煙草の匂いがするけど…」


「あ、わたしさっきまで吸ってたからね」




彼女と信頼する上司であるパパが2人っきりで


休憩しながら談笑する光景を想像し、すこし憂鬱になる。




「でもガム食べてるのに匂いキツくない?」


「そんなに匂いするかな…」


「服に匂いが移ってるとか」




そう言うと、彼女は腕を自分の鼻にあて確認する。


さらに上着の衿を両手で持ち上げ、


服に潜り込むような仕草で内側も嗅いでいた。



その姿が妙にセクシーに見えてしまう。




「そんなに匂わなかったよ」




彼女はそう言って、今度は横に座って説明をはじめた。


すると、ほのかに香水の甘い香りがした。



普段の彼女は香水をつけないと思っていたのに、


控えめではあるけど香りを纏っていたことが新鮮だった。


属性

| | コメント(0) | トラックバック(0)



朝から会社の女の子と会話を避けていた。


そのことで思ったほど落ち込むことも無くなっていた。




「今の会社にいても、ダメかもな…」




そう考えていたし、次のことばかり考えていた。



彼女と会話のないまま、昼を過ぎて夕方になった。


それでも仕事上聞かないと分からないことがあったので、




「あのさ、ちょっと教えてほしいんだけど…」




そう彼女に声をかけた。


すると頼られることを嬉しそうに丁寧に、


それでいて優しく説明していく彼女。



その後、急ぎの仕事が舞い込んできた。


それを彼女が席に持ってきて言う。




「できなきゃ、わたしの方でやるけど…できそう?」




出来るかどうか考えてると、


彼女が心配そうに表情を覗き込んで言う。




「だーいじょーぶ?」


「たぶん…」


「ほんとに大丈夫?」




年下をからかうお姉さんみたいな口調で言う彼女。




お姉さんキャラ好きなんだからやめろ!





最近、自分の記憶力が危うい気がする。


過去にあった出来事が抜け落ちてることが怖い。



たぶん見た映画の内容すら忘れてしまうのが初期症状で、


だんだんと自分の体験した記憶も忘れてきた。


良いことも、悪いことも。



過去の日記をみて印象的な出来事も忘れてることに気付く。



優しさをくれたり、自信を与えてくれたり、そんな出来事すら忘れる。


最近、身近であった嫌な出来事だけに支配されて自己嫌悪に陥り、


どんどん暗い、負のオーラを纏ってしまう。




「自分が思うほど、自分は酷くない。」




自分を高めるために自身を過小評価することも悪くないけれど、


行き過ぎたそれは、自信を失ってしまうことにも繋がりかねない。


今は自信を失っているけど、記憶を辿れば




「そんなに悪くないじゃん、自分!」




そう胸を張って言える体験をしてきた。


今はどこかに仕舞い込んだ自信を取り戻すために、もがいてる状態。




「人の悪い部分じゃなく、良い部分を見つけられる人になりなさい」




それって、自分自身の良い部分も見つけられることにもなる。


自分を客観視することって予想以上に難しい。





「今日、知り合いの新しい事務所に行くから早めにあがるよ」




そう会社の女の子の信頼している上司が聞いてくる。




「ねえ、まだ帰らないの?帰っちゃえば良いじゃん。」




そう聞いてくる彼女。



それから予想通りの展開。


二人で一緒に新事務所とやらに行くんだってさー。



見なかったことにして、この世から消え去りたい。


死ねば良いのに…。




「新事務所に行くから、一緒に来る?」




そんな一言もなかったし、




「え、いや…。自分忙しいんで…。」




そんなベタな断り方だって出来ないじゃないか。


もうダメだ…、いろんな意味で。



自分の振る舞いかたも悪いけど、


まさに目の前で彼女を取られてしまうなんて凄く情けない。


こんなんじゃ恋人なんて出来るわけない。



もしもの話なんてしたくはないけど、三ヶ月の試用期間で辞めていたら


こんな情けない格好も見られなかったし、うまくいったかもしれないけど。




人間関係を上手く作れないこと




苦労すること、苦手なものから逃げて、


経験を積まなかったことが悪いんだ。



RINTERIOR / Archive 話すと普通



この頃から何も変わっちゃいない…。




今朝、会社の女の子は遅刻をした。


弱気な彼女は他者との関わりを避けるようにして、


普段のように上司と一緒に休憩することもなかった。



彼女に仕事が舞い込み、確認のために近付いて聞く。




「何か新しい案件?大丈夫?」




彼女は話しながら要点を整理していく。




「いちおう、あの人にも伝えておこうかな…」




そう言って彼女は席を立ち、一緒に上司に報告する。


そのことで気まずかった上司と彼女の仲は改善された。



2人の仲が悪くなって欲しいと願っていたし、


自分が悪者になれば彼女の好意を自分に向けさせられる。



それで恋人ができるのかも知れないけれど、


ほんとの悪者になんてなれそうもない。




会社の女の子が同じ仕事ばかりしていることを気に掛けて声をかけた。




「いつもそればかりやってるね」


「そう?」


「うん…、悩んでる?」


「ううん、別に…。今のとこ大丈夫よ」




その会話のあと、彼女は他の女子と休憩に行った。


しばらくして戻ると、彼女は様子を探るように後ろにいた。


無言でいる彼女に声をかけた。




「ん?どしたの?」


「ううん…」




そう言って彼女は首を振る。


疑問系を頭に浮かべたまま彼女を見ていたけれど、


彼女は目で合図だけして、席に戻った。





「今週はわりと暇そうだし、もう帰るけど…」


「あ、お疲れさま。ねーねー」


「?」


「犬飼ってるでしょ?」


「飼ってないから」


「じゃあ…、猫?」


「猫じゃないよ」


「じゃあ、何だろう…。ねずみ…、うさぎ…、きんぎょ…。どれも違う?」


「うーん…」


「何?」


「内緒にしておく」


「教えてよー」


「え、秘密…。お先しまーす」


「えー、うん。お疲れさまでした」






「安室奈美恵さん良いよね」


「良いね。カッコいい。」




そんな中学生みたいな会話を会社の女の子とした。好きな子にCD貸し借りして喜んでるなんて情けない。もう中学生じゃないんだから…。



BEST FICTION(DVD付)

BEST FICTION(DVD付)






何人かで会議中に、彼女は両手をフワフワ上下させて何かを探すようにあたりを見回した。その前の行動で、他の人にペンを貸していた様子を見ていたので、



(書くもの…、書くもの…)




と、彼女の心の声が聞こえてきた。



目の前にいた彼女にスッとペンを出す。持ちやすいようにペン先を自分に向けるようにして差し出すと、それを見た彼女は数秒迷って、猫じゃらしに反応する猫みたいにペンを取られた。そのまま、手近にあった紙を裏返すともの凄い勢いで会話の内容をメモしはじめた。



会議内容を確認のために書きたかったらしい。




相手の考えや、行動の意味を察知する能力は、


相手が好きだからこそ身に付くのかもしれない。




何かを目標として生きるってことは間違いじゃない。



例えば、仕事で評価されたいと名誉を目標とする時期。それとは別に誰かに理解してもらいたい、女の子と恋愛したいと思う時期。それが交互に訪れてることが多いけど、後者に関しては特に受けが悪いらしい。




何かに夢中になってる男を見るのは好きなんだけど、


夢中になる対象が女の子本人になると逃げられちゃう。




彼女なんていらねーから転職のために行動するか、なんて思ってると女の子の方から寄ってくる。逆に、今の職場でがんばって彼女との信頼を築いていつか恋愛関係に…なんて下心のある気持ちでいると逃げられる。この半年間を振り返るとそんな状況だった。



だから自分にとって女の子は、目標を遠ざける障害にしかなってない。




「わたしは猫みたいな性格だから…」




そう彼女は言うし、『目標に向かっている姿を見て、夢を見たけりゃ勝手についてくるだろ』。それくらいの考えでいた方が女の子にとって居心地が良いし、恋愛に発展する可能性は高くなる気がする。



逆に、一瞬でも異性を意識した瞬間は逃げられる。そのさじ加減ひとつが重要なんだと思う。頭では下心なんてないと思っていても、完全に隠すことは難しい。




男にとって上半身と下半身は別の生き物だ





朝から会議に参加した。そこには会社の女の子と、彼女の信頼する…と何度も書いているパパも参加した。前日に続いて自信に溢れる感じで主張していた。



会議が終わって、担当とパパが真っ先に退室する。続いて彼女が席を立ち、自分はゆっくりと書類を束ねていた。視線を感じて彼女を見ると、完全に目があった。心配するように何かを訴えかけるような目だったので、数秒の間様子を見ていたけど、彼女は振り向いて退室していった。



何なんだよ




彼女の仕事を手伝う片手間、服装に目について聞いた。



「今日は何で全身真っ黒なの?」




黒がとても似合う女の子だし、不思議はないけれど印象が違う。



「わたしも女の子らしい服装しよっかなって思ってね、今日は黒のワンピースなんだ」




その言葉を聞いて黒のワンピースに、黒のストッキングだと初めて気付いた。うん、悪くはない。



「いつもはジーンズ履いてるイメージしかない」


「そう。珍しいでしょ?」




うん、と頷いてから、続けて言う。



「似合ってるね」




そんな言葉がナチュラルに言えた自分にびっくりした。たぶん、女の子を誉め殺しにする才能があるんだと思う。以前、お酒の席で彼女から言われたことがある。



「わたしのこと誉めすぎじゃない?」


ランチと相談ごと - 迎撃blog




それからは普段より手伝う意識をして仕事していたら、好感に思われたらしく久しぶりに彼女の私生活の話を聞いた。口数も増えたし、無関心でいることで得たことなんて何も無かった。



理系のための恋愛論 理系脳 v.s. 女子脳 (マイコミ新書)



さっきまで打ち解けた態度をとっていたのに急に冷たい(クールな)態度を取るなど、態度がコロコロ変わる人に出会うと、女の子はとても戸惑ってしまいます。


「あれ?私、何かまずいこと言ったかもしれない。どうしよう、どうしよう?」


と何もしていない自分を責めて悩んでしまうこともあるのです。


ですから、女の子から見ると、常に態度が安定している人の方が良い。




勝手に距離をとっていたことから、彼女は不安だったのかと思う。勝手に思い込んで、勝手にクールになったりするから、態度が安定してない。それには理由があったけど、何も言わずに不機嫌になったり、冷たい態度になっても解決する問題じゃない。



それを証明するように、開き直ったときから彼女の態度も戻ったようだ。大きな進展もしてないので相変わらずだけど、もし彼女が最初の頃みたいに好意をもって、告白とかしてきてたら…



だが、断る!


亀裂

| | コメント(0) | トラックバック(0)



気分が吹っ切れたことで、会社の女の子と以前のような関係に戻った。悩んでいても仕方ないので、明るめに振舞っていたことが良かったらしい。仕事の話をしていると、彼女が信頼する上司であるパパが席を立つ様子を見て、珍しく彼女から話題を振ってきた。



「今日はあの人、機嫌悪いみたいだね」


「喧嘩してるのかなって思ってた…」


「わたしと?」


「うんうん」


「違うよ。あの人の機嫌悪いときって気付かない?」


「いや、全然わかんない」


「だから、今日はわたしも話さなかったんだよ」




普段彼女とパパは2人で休憩に行くのに、別行動することが多かったので違和感があった。そんな妙な空気について、彼女から言葉にしてきた。他人が入り込む余地もない仲に見えても、溝はできてしまうらしい。その溝を埋めるように彼女と接することができて、ちょっとだけ特別な気分を味わえた。



それでも、明日になったら2人の仲も元に戻ってそうだけど…。





「チョコあげる」


「どうしたの?」


「これ、すごく美味しいんだよ。ホワイトチョコレート」


「ホワイトチョコレート?」


「うん、生チョコのね」




話し相手は当然のように会社の女の子な訳だけど…。



最悪の日に起因する、諦めの気持ちを覆すような行動をとる彼女。興味がないのなら放っといて欲しい。そう思うけれど、女の子特有の表向きは仲良くするという気持ちで渡されたようなチョコを、彼女から貰ってしまう。もちろん、彼女の信頼する上司である愛称パパも貰ってるわけだけど…。



別にチョコレート貰っても、そんなに気持ちは変わらないけどね。そう心の中で呟いて、感情を高ぶらせなかった。



犬の餌付けじゃないんだからさ、チョコ程度で懐くかって…




すこしの苛立ちを感じながら過ごす。ランチタイムも過ぎて、彼女は今日もパパと食事してるんだろうなと嫌な想像。毎日一緒にいて飽きないんだろうかと不思議に思う。



ランチタイムから戻って来ると、新しく買ったブーツを暇そうに触っている彼女。話題があったので話しかけたけど様子に変化は見られず、まだ警戒心をもたれていた。彼女は「誘われること」を極端に怖がってるようで、地雷を避けて通るような不自然な会話をした。



そのあとで仕事の相談をするため、彼女のことを賞賛するような言葉を頭に付けて彼女を呼ぶと引きつった笑顔で振り向いて言う。



「何それ?わたしに対する皮肉で言ってんの?」




と、問い詰められる。それに焦って、



「いや、だって俺よりも凄いじゃん。前だってさ…」




そんな言い訳をすると彼女も悪気で言ったんじゃないと理解したのか、表情を緩めてくれた。それから彼女なりの率直なアドバイスを受けた。彼女にお礼を言う。



「参考になったよ、ありがと」


「わたしも実はまだそんなに考えてないから、参考になるか分かんないよ」


「そんなこと無かったよ」


「ずっと1人でしてると、客観的に見れなくなるよね」




彼女の言葉に頷いて目を合わせ、気持ちを共有するようにした。それから、彼女に言う。



「あのさ…」


「うん?」


「やっぱ、聞き上手だね」


「そう?」


「うん、だから他の皆もさ、ココに話しかけに来るんじゃないの?」




そう、彼女の席を指差して言う。すこし照れたよう微笑んで彼女は答えた。



「そんなこと、初めて言われたよ」




余計なことを言わないように、彼女と目を合わせてから席に戻った。以前、彼女の声を誉めたときも似たようなことを言われたことを思い出した。


声カワイイ - 迎撃blog




誉めるときは、行為をしたときに誉める


それは、『犬を手懐ける』ときに似てる




そう思った。人間も犬も誉め方に関しては大差ないんだと思う。いっそのこと、犬と思ったほうが緊張しなくて良いかも知れない。いや、人権的にいろんな問題が起こってくるけど…。それからの時間は、彼女と問題解決することが多く、以前の特に仲が良かった時期を思い出すようだった。



用事があることを告げて帰るとき、珍しく彼女から話しかけてきた。



「あ、お疲れさま。なんか、最近早く帰ってない?」




こっそり転職活動してる…、こっそり女の子とデートしてる…。そんな彼女を不安にさせる印象を抱かせたり、最悪の日のショックから立ち直るために早めの帰宅をしていた。そもそも帰宅部だし…、なんて思いとは裏腹に首を傾げて言う。



「そう?」


「わたしはね、犬でも飼ってんのかなーって予想してるんだけど…。」




どんな想像だよ!彼女の突飛な発言に戸惑いながら微笑んで答えた。



「イヌ?どうして?」


「いや、なんとなく…」


「犬かぁ、欲しいけどね」




そう答えながらつまらない妄想が膨らむ。



「いや、人間のメスを家で飼ってるから…」


「うん?」


「カノジョがうるさくてさー」




いや、さすがにない!キャラ的に一言目で犯罪かと間違われるし…、ないない!と全力で自己否定。そんな自分に死にたくなる。



彼女がパパに飽きて自分に興味持ってもらえないかな…、なんて淡い期待を残す。犬だって、毎日同じご飯食べて、同じ散歩コースで、同じ場所にチェーンで繋がれていたら飽きるだろう。犬も歩けば棒に当たるって言うくらいだし…。たぶん、使い方間違ってるけど。



ともかく今日は不思議に『犬』で繋がる一日だった。





「ねえ、これ分かる?」


「全然分かんない」


「どうして分かんないのよ」


「それはほら、付き合ったりした経験もないし…」


「そうやって感傷にばかり浸ってないで、少しは考えなさいよ」


「じゃあ、どうすれば良いんだよ」


「うーん…」


「お前だって分からないんじゃないか」


「そんなことは、ない…、けど」


「じゃあ、それを言えよ」


「だーかーらー!恋愛の真理なんて1人で考えていても仕方ないから!相手がいないと真理なんて分かるわけないじゃない」


「相手なんて居るわけないだろ…」


「…目の前にいるじゃん」


「は?」


「わたしじゃ、ダメ?かな…」



という妄想。



もうすこし、あと本当に少しだけ手を伸ばしたら恋人ができるような気がする。何かが掴めそうな気がする。例えばおっぱいとか。気がするだけで、いつも想いって届かないけど。



結果として恋人なんていたことないけど、女の子について考えて、恋愛について考えて…、好きな人が結婚してしまったり、積極的になれば警戒されたり、いろいろあったけれど何とか生きてます。フラれたり、傷付いたり、悩んだり、相手が存在しない恋愛でも同じ痛みなら、それは恋愛経験なんじゃないか?あれ、やっぱり恋愛未経験じゃなくね?



いや、ダメだろうな。




例の最悪の一件以来、会社の女の子に話しかけに行くことをやめてたら、態度の急変に心配したのか彼女が席に来た。簡単に受け答えをしていると、彼女が質問する。



「香水つけてる?」



気分転換のためにつけていたけど、最悪の出来事のこと、急に聞かれたこともあって反射的に



「ううん…。あ、ワックスじゃない?」




なんて髪を触りながら曖昧に答えてしまう。彼女も「ふーん…」と素っ気ない返事して、興味をなくして去っていく。何これ、死ぬの?



彼女から話しかけに来てくれることなんて1日に1回あるかどうかだし、極端にガードも固くなっている印象がある。「嫌われてるだろう」という恐怖心が距離感を生んで、彼女も何となく距離をとる。そんな悪循環。関係を進展させる気もないし、心のダメージに鈍感になってしまった。



それから彼女の名前を呼ぶときに、いつもと違う呼びかたに変えた。距離をおくという意味もあったし、馴れ馴れしく名前で呼ぶような関係じゃないし。『たまごっち』みたいなニュアンスで呼ぶ。1度目は「フフ、急にどうしたの?」と言うように笑い、2度目に同じように呼ぶと



「次にそれで呼んだら返事してあげないから!」



って、怒られた。その呼ばれ方に嫌な思い出があるみたいで、妙な間が空いてしまう。機転の利いた会話をすることは難しいな。




理系のための恋愛論 理系脳 v.s. 女子脳 (マイコミ新書)

理系のための恋愛論 理系脳 v.s. 女子脳 (マイコミ新書)






途中までしか読んでいないけれど、106ページからの引用。



時々、相手の目を見ながら「うんうん」としっかりうなずいて、相手を肯定してあげる。否定的な意見は言わない。気の利いたアドバイスをしようと思わない。この3点に気を付けていれば、誰でも聞き上手になれること請け合いです。




常にアドバイスするために悩んでいたような気がする。結局女の子って話したいだけなのだから、ただ聞いときゃ良い。言ったことだけで満足する。全然理解できないけど、それだけで良いらしい。残りの2点については、同じことを以前の記事で書いた。



聞き役、話し役 - ハクアといっしょ!迎撃ブログ


大抵の女の子との会話は「そうだねそうだね」って同意して、「間違ってない、正しいよ」って言ってれば上手くいく。




相手を肯定してあげて、否定的な意見を言わない。それは例えば、好きな子が別の男と会ったりする場合においても。



幸せにする決意 - ハクアといっしょ!迎撃ブログ


「だから、わたしも今度ね、花火大会の日に男紹介してもらおうって思ってさ…」




この言葉に対して、後日、彼女の行動を否定するように、



「紹介…、上手くいかなきゃいいなー」




と答えた。これは否定意見だし、自分が彼女を彼女にしたいという意味をもたせた。けれども、相手に求めるような行動って警戒心をもたせてしまうらしい。たぶん、『知らないうちに付き合ってた』なんてふざけた意見を言うカップルはお互いに求めないから警戒心もないまま近付いて、そのまま付き合うみたいなことなんだろう。



では、どう答えたら良かったんだろうか。




「だから、わたしも今度ね、花火大会の日に男紹介してもらおうって思ってさ…」


「あ、良かったじゃん。楽しめると良いね。」




とか、そういう答え。



なんか余裕のある男っぽくて必死じゃないし、モテるオーラすら感じる。さらに紹介してもらった後、場合によってはこんな展開になる。



「紹介してもらったけど、あんまり良い人じゃなかったんだ」


「そっか、残念だったね」


「それでさ…、」


「うん?」


「よかったら今度デートとかしない?」




よし、死ぬ。