亀裂
気分が吹っ切れたことで、会社の女の子と以前のような関係に戻った。悩んでいても仕方ないので、明るめに振舞っていたことが良かったらしい。仕事の話をしていると、彼女が信頼する上司であるパパが席を立つ様子を見て、珍しく彼女から話題を振ってきた。
「今日はあの人、機嫌悪いみたいだね」
「喧嘩してるのかなって思ってた…」
「わたしと?」
「うんうん」
「違うよ。あの人の機嫌悪いときって気付かない?」
「いや、全然わかんない」
「だから、今日はわたしも話さなかったんだよ」
普段彼女とパパは2人で休憩に行くのに、別行動することが多かったので違和感があった。そんな妙な空気について、彼女から言葉にしてきた。他人が入り込む余地もない仲に見えても、溝はできてしまうらしい。その溝を埋めるように彼女と接することができて、ちょっとだけ特別な気分を味わえた。
それでも、明日になったら2人の仲も元に戻ってそうだけど…。
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