karin: August 2009アーカイブ
マリア様がみてる 4th season 第3話
「瞳子ちゃんを見ていると以前のわたくしを見ているようでつらいのよ…、
素直で生きるのはとても勇気がいることだけれど、その分得るものも多いのよ」
瞳子に対して祥子様が言う台詞。
素直でいることは難しい。
自分を見せることは傷付くことにつながってしまうから。
自分を見せる経験に慣れていないことが要因なんだろうか。
自分の全てを素直に見せて、それが誰かに認められる。
そんな経験がなかったせいで、未だにツンデレ気質を引きずっていて素直になれない。
以前、試用期間の数日間だけ働いた会社があった。
そこは本当に人の少ない職場で、家族的な付き合いを求められた。
そんな雰囲気に馴染めずにいたとき、2~3歳上の女性にこう言われた。
「もっとしゃべりなさい、しゃべって自己PRするの」
そう言われて、掃除を手伝っていた手を止めた。
人に対する恐怖心があったせいで、自分が何と答えたかは覚えていないけれど、
彼女がその後にこう言ったことを覚えている。
「話してごらん?怖くなんかないから」
それから彼女とよく話す仲になった。
…なんて、そんな都合の良い話にはならずに数週間後、会社から首を宣告された。
ARIA The NATURAL 第6話
「みんなが自分を嫌っていると感じるのは、自分がみんなを嫌ってるから…
ううん、アリスちゃんの場合は怖がってる…かな。
笑ってる人の前では自分も楽しくなるし、畏縮してる人の前では、
自分もつい緊張してしまうのよね」
「鏡が自分の姿を映すように、人もまた自分の心を映すのよ…。
笑ってごらん?
そしたらアリスちゃんの前にいる人もきっと、笑い返してくれるわ」
「アレスタに位置情報を転送しなきゃ…」
前回の仕事で両腕を怪我したぷらぐは対象者に充電できない。
簡単に説明すると落ち込んでる人を元気にするために電気を送るのだけど、
「わたしは腕が使えないから、対象者を見つけたら後の充電はアレスタが…。
今日はそういう決まりなの…。」
そう独り言みたいに言って位置情報を送るため手元の機械を操作するのだけど、
思うように手が動かない。震える手で懸命に操作しようとしながら言う。
「あれ?もうちょっと…」
その状況を隣で見ていたセントくんが言う。
「…なあ?おまえ、
他の奴なんかに任せちまっていいのか?それで」
手元の機械から顔を上げ、ハッとしたようにセントくんを見るぷらぐ。
両腕が使えなくなるくらい仕事熱心だった、それを他人任せにして良いのか?と。
ぷらぐは最大限の笑顔を見せながら答える。
「…やっぱり、優しくなんかないなぁセントくん。
『無茶するな』って言ったばっかりなのに。」
『ファイト一発!充電ちゃん!!』 の8話でのシーン。
優しさって意味はすごく深い。この話で言うなら、
両腕が怪我で使えないんだから、無理してやらなくても良いよ
そんな逃げ道を作ってあげること。これも優しさといえば優しさだと思う。
けれど、ほんとの意味での優しさは違う。
それで本当に良いのか?他人に任せて自分が納得できるのか?
逃げ出して投げ出して放棄してしまうことは簡単だけれど、
それと向き合わないと後悔は残る。それでも良いのかと問いかける。
無理してやらなくても良いよ
これは優しさじゃなくて、楽な方へ誘導しているだけだ。
それが優しさだと勘違いしていた。
優しいの意味は人によって違うし、優しさって思った以上に難しいな。
「ひとつ、言っていい?」
「いいよ」
「キミはね、一人で勝手に進めちゃうことがあるよね?」
素直にそれを認めて頷くと、会社の女の子は続けて言う。
「この会社には地雷があってね…」
「地雷って?」
「うーん…。言っちゃいけない事とかがあるのね。それは分かる?」
「うん」
「一人で進めてると、いろんな地雷を踏んじゃうことがあるから。
そうすると、わたしも困るの…」
そんな忠告を受ける。
どうしようかと考えていると、それを遮るようにさらに彼女は続ける。
「ついでにもう一個、言っていい?」
「いいよ」
「たぶんキミは、言った内容をあまり理解してないよ」
「そうかな?」
そう反論すると、彼女は迷うことなくそうだよと言った。
さらに付け加えて言う。
「聞いてるときは、うんうんって頷いてるけど、ほんとには理解してないと思うのね」
「そんなことないと思うけど」
「わたしからはそう見える」
「うん…」
「…ちょっとさ、ノート持ってきて」
そう言われて席を立ち、コピー用紙とペンを持って行くと彼女は首を横に振る。
「ううん、大事なことを書くノート」
それから彼女は大事なことを伝え、それをメモした。
すこしでも疑問に思ったら、まず報告すること
それがきっと地雷を避ける最良の手段なんだろう。
そのあとで、彼女は周囲を確認し小声で話す。
「わたしは社長も信頼できないし、上司も信用できないと思ってる…」
自分からは彼女と上司の関係がとても不思議に見えた。
これは内緒ね、と彼女は付け加えてからしばらく話し続けた。
それから一息ついて彼女は言う。
「キミを信用してるから、こんな話してるの。それは分かるよね?」
瞳の中を覗き込むような視線で言う彼女に、
必死で目をそらさないようにしながら、それは大丈夫と答えた。
「ね、わたしたちは通じ合ってるよね?」
明日からの夏期休暇のため、会社の女の子と仕事の大詰め作業をしていた。
彼女との口数は相変わらず減ったままだけれど、
たまには構ってよとでも言うように簡単な仕事を持ってくる。
そんな小さな接点から、彼女の仕事に付き合った。
そのことで彼女とその上司、自分とで話し合っていたときのこと。
「これはJPGじゃなく、いつもの形式で」
彼女はそう事務的に言い、それに簡単に頷いた。
それを見て上司が不思議そうな顔で言う。
「え?なんで?JPGじゃなくて良いの?」
「うん、そのほうが軽いからね」
年の離れた恋人に言うように彼女は簡単に理由を述べたけれど、
ずっと頭に疑問を浮かべて理解していないようだった。
彼女は笑いをこぼすように、すこしだけ息を漏らす。
その様子を見ていたら彼女と目が合った。
人差し指で行ったり来たりするジェスチャーをしながら言う。
「ね、わたしたちは通じ合ってるよね?」
それは決して心が通じ合っているではなくて、
あくまで理解のことだけだと感じて寂しくなった。
もっと心に踏み込む勇気があれば、
彼女との関係も何か変わっていたのかもしれない。
「あのね、わたし彼氏できたの。
それでね都内の花火大会は全部彼氏と行くんだ」
そうお酒の席で会社の女の子は言った。
さらに調子よく嬉しそうな笑みを浮かべながら続ける。
「だからね、仕事を早く切り上げて帰ることもあると思うんだ」
そして彼氏からもらったらしい右手の中指の指輪を見せてきた。
以前そんな事件があった。
今日は神宮外苑花火大会が予定され…
そんな言葉がラジオから聞こえてきた。
だから今日は彼女も早く帰るだろうと思ってたら、普通に残業してた。
「その彼氏とね、都内の花火大会全部制覇するんだー」
そんなくだらない嘘をつかれた。
なんかもうどうでもいいや。
そろそろ死ぬか…。
彼女から牽制されるくらい誘ったかなぁ…。