April 2011アーカイブ
この会社は第一線で戦っていると後ろから撃たれるようなことが日常茶飯事で起こる会社だった。それについて社員全員が口を揃えておかしいと言うし、直談判もしていたようだけど一向に改善する様子もなかった。結果的に苦労するのは実際作業する要員であったり、末端ばかりが被害を被る。
たぶん、バカと話を合わせるだけならストレスはたまらないけど、バカに付き合って作業させられるのは大きなストレスになる。そんなことを思った。実害のあるバカは勘弁してくれと。
自分が新しい道を考えるキッカケは何だったかと振り返れば、やっぱりラブプラスかな。それで声優の早見沙織さんを知ることができたことで大きく世界が広がったような気がする。自分が何をしたいのか、東のエデンを見てなかったら今ほど深く考えていなかったかも知れない。
あとはアニメ関係の歌もよく聴いていた。現実の女性に打ちのめされて、周りの楽しそうな会話も聞きたくなかったのでイヤホンでずっと音楽を聴いてた。
『耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間になろうと考えた』
そんな攻殻機動隊のアオイくんみたいな感じ。アニメの音楽の良いところは愛情だの恋人だの強調しすぎない感じが心地よかった。その中でも戦いをテーマにした曲を気に入って聴いていたような気がする。
会社を辞めると宣告してから震災があった。全てが順調とはならないらしい。だけどやっぱり世界ってそういうものだと思う。最初から何もかも上手くいくことはない。
それで、今日は最後だったので会社の人たちに挨拶してまわった。
あっち側の人間とこっち側の人間になる境界線を越えた。その時に思い出したのは辞めてしまった女の子のことだった。彼女が辞める瞬間に何を感じたのか少し分かった気がした。
せっかく最後なのだからと、良い印象のためにいろいろと努力してみた。自分のことは自分でやらないとダメなんだなと改めて思った。人付き合いとか本当に面倒だしやりたくないけれど、そこで諦めていたら何も手に入らない。
これからは覚悟を決めて、自分で決断して生きていかなきゃいけない。だけど、それって今までもそうだったんだと思う。上京すると決めた時も誰かに言われた訳でもなかったし、上京してみたら意外と何とかなった。
だからたぶん起業してみたら、意外と何とかなるんじゃねえか…?みたいな気持ち。何だって自分でやってみなきゃ分からないんだ。
『耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間になろうと考えた。
だが、ならざるべきか?』
「7時からだから」
会議室から自分の席に戻るまでの間、後ろからついてきた職場の女性に言われた。あまりに急だったため、確認も含めて聞いた。
「今日の?」
「うん」
そんな暗号みたいな会話のあと、仕事を終えて送別会に参加した。
感想から言えば送別会とは名ばかりで、ただお酒の席を設けたいだけだったように思えた。自分自身それほど話題の中心になるようなタイプじゃないだけに、ほとんどの話題は今の会社の状況に対しての愚痴だった。
書くべきことがあるとするなら、入社してから仲良くなれそうと思った女性、冒頭の暗号で送別会の予定を教えてくれた女性からこう言われた。自分の席の目の前で、ビールを片手にしながら
「わたしのこと嫌いでしょ?いつも私の電話に出てくれないし…」
正確に言えば、好きになれそうだったけどなれなかったんだと思う。彼女と話していると、どうしてか嫌な部分ばかり見つけて指摘してくるタイプなので合わなかった。それと、冒頭の会話のように言いたいことを察して欲しいという欲求が大きいこと。また、年上に対しては無条件に心を開いてしまうこと。これには本当に参ってしまって、彼女と仲良くなることを諦める要因になった。
彼女と同じように悪い点ばかり挙げていても仕方ないけど、一方的に仲良くなりたいと思っていたって必ずしも仲良くなれるわけがないんだと教えられた。それとは逆に、入社した頃に険悪になっていた女性とは別れ際に握手するまで仲良くなってしまう。そんなことが起こるから世の中は本当に楽しくて不思議だ。
その女性からは、あまり会話をしないことに対して
「もっと色んなこと喋れば良いのに、もったいない…」
と言われた。同じことを以前から言われてるので、そろそろ改善しないといけない気はする。
男の上司からは、独立についてアドバイスをされた。
「せめて、クライアントの1つくらい確実に取れてからの方が良いんじゃないか?」
けれど、未来に確実なものなんて何ひとつとしてない。そういう考えしか思い浮かばなかった。その1つを得るために何十年も犠牲になるなら、不確定であっても行動して自分で確かめた方が早い。
Don't Trust Over 30.
3年間を今の会社で過ごして、本当に大人はすぐに都合の良い嘘をつくんだなと思った。嘘をついて、それがバレそうになると誤魔化す。反抗されないように、『経験が足りない』等と言動を封じ込める。そういう下らない大人の見栄に振り回される人生に意味はない。
今の自分にある武器は、そんな嘘に立ち向かえる勇気と、誰かのくれた言葉だ。
そういう想いを忘れないうちに独立しておこう。どうあがいたって、いくら嫌でも年齢は重ねてしまうものだから。今何もしなかったら、きっとずっと何もできない。
さて、辞めよう。
これまで勤めてきた会社もようやく4月末で退職が決まった。こういう時、今までだと自由を謳歌するような晴れやかな気分になれたものだったけど、社会情勢や今後自分がやらないといけないことを考えると複雑な気持ちだ。
辞めることを全員の前で告げるとき、心の中では他人からの見え方を考えるほど頭は冷静だった。言うべきこともほとんど決めてたし、緊張だってしなかった。けど、第一声を上げようとしたら全然自分の声にならなくてびっくりした。
こんなくだらない会社にいても、これまでどんなに理不尽な扱いをされてきても、自分の中に愛着のような感情はまだ残ってた。普段の声を取り戻そうとして咳払いをしたけど、以前として声は戻らなかったので、そのままよく分からないスピーチをしたのだけど。
あとで送別会をコソコソとやるらしく日程の相談されたけど、自分のためにしてくれてることだと分かってても行きたくない。そのコソコソぶりが気持ち悪いと思ったし、やっぱりこの会社の人たちはどうも好きになれない。粘着質というか陰湿というか…。
でも、そんな大嫌いな会社でも辞めるときに感情を揺さぶられるのは不思議だよねという話。
全く気にかけてなかったのだけど、花咲くいろはを見てみたら予想外に面白くて驚いた。まさか経ったの数十分で心を揺さぶられるとは思わなかった。個人的に女の子の成長を描く物語が好きなジャンルだってこともあるけど、面白くて泣けて、すごく良い出来だと思う。
内容については機会を見つけて書くことにしとこう。あーようやく東のエデン全巻揃えたのに、次のブルーレイ購入リストが増えてしまいそうだわ。
「地震、大丈夫でしたか?」
そう心配そうな表情で声を掛けられた。以前訪れた店にオフィス用家具を探しに行き声を掛けたら、そんな反応をされて驚いた。
「自分は大丈夫だったんですけど、実家が仙台なんで…」
「大丈夫なんですか?」
「一応市内なので大きな問題はなかったみたいです」
「でも心配ですよね…」
「ですね…」
「私も何かお手伝いたいと思っているので、何か手助けが必要だったら言ってください。」
そんなことを言われた。あの震災の映像を見て、誰もが自分の無力感に気付いたんだと思う。だからこそ、自分に何か出来ることはないだろうかと考える機会になった。もし、彼女のような人が大勢いたら、世の中がもっと素晴らしくなるだろうなと思った。
その後で、家具をどれにするか相談にのってもらう。その時の彼女はとてもアクティブで、実際にイスに座ってみせたり、柄を選ぶために店内を走り回ったり、レイアウトするためにあれこれ持ち運んだりしてみせた。そんな楽しそうに仕事をする姿が輝いて見えた。これは今の自分にはないものだと思う。
まだ会って2度目なのに、会話するととても話しやすい気がした。たぶん、気が合うタイプなんだと思う。考え方がポジティブで、明快で、考えていることを理解してくれる。彼女のような人は今の会社にはいない。
恋愛感情の好き嫌いではなく、ただ彼女の持つ雰囲気が心地良かった。そんな存在になれたら良いなと感じた。それなら悩んでいた物事に対して、前向きに上手く進んでいけるような気がする。
たぶん誰もが輝くことを目指して生きている。そして、明日は今日より良くなると信じて行動している。そういう考えの人が増えたら世の中は今よりも素晴らしくて、居心地の良い世界になるはずだ。
全ての相談が終わると、彼女は別れ際に笑顔も見せずに言った。
「ほんとに困ってることがあったら気軽におっしゃってください。何でもお手伝いしますから。」
チャンスはそれを見つけようとする者にしか与えられない。
ただ来るべき時期を待っていても、きっとチャンスは訪れないんだと思う。あったとしても、見逃してしまう気がしてる。それは、自分に都合の悪い情報ばかりを判断材料にしてしまうから。やらない奴は、きっと何が起ころうと実行しない。そして実行しないための言い分を探し始める。そうなってしまう前に行動していくことが大事なんじゃないかと思う。
大抵の人はチャンスを見つけようともしないで、ただ漠然と日々を過ごしているような気がする。何かあったときにそれに気付いて動き出すのだけど、判断の時期が遅かったと後悔する。
自分の信念としては、早いうちに失敗しておく方が良いと考えている。何度も失敗して、それを乗り越えてきた人は本当に強い。だからこそ、「失敗を恐れずにやってみる」という言葉が多く残されているんじゃないだろうか。当然のように思えても、それが出来ていない人ばかりだし。
声優 阿澄佳奈さんのラジオ番組「星空ひなたぼっこ」 第27回より引用
「東北地方にもいるんですよ、たくさんいるんです。わたしのことを好きな人が。」
番組の後半で震災について語る場面で感動してしまった。阿澄さんは自分に言い聞かせるように話していて、自分に決心させるように「前向きに生きていかなきゃいけない」と語っていた。それを泣き崩れないようにしながら話していたのが印象的だった。
阿澄さんを知ったのは話し方が前に好きだった女の子と似ていたからという動機だったけど、彼女のことを知るうちにすごく気になる声優さんになってしまった。他のリスナーへの励ましの言葉を阿澄さんが言う。
「だいじょぶだいじょぶ、どうにかなるって」
そのすこし投げやりな言い方で、その時期の記憶が急に戻ってきて切なくなってしまった。この言葉も今の自分自身にも当てはまるから余計に。
これからはそんな記憶を胸に前を向いて生きなきゃいけない。いつまでも感傷に浸って後ろばかり向いていてはいけない。そういう決意を固めることができた。なので以前から計画していた起業を予定通りに進めてみることになりそうだ。
それはあまりに未知すぎて無謀にも思えるけど、やってみる価値はあるはずなんだ。やってみれば何とかなるって部分もあるのだから。失敗したらしたで、その時はやり直すための方法を考えれば良いだけだ。