輝かしいこと
「地震、大丈夫でしたか?」
そう心配そうな表情で声を掛けられた。以前訪れた店にオフィス用家具を探しに行き声を掛けたら、そんな反応をされて驚いた。
「自分は大丈夫だったんですけど、実家が仙台なんで…」
「大丈夫なんですか?」
「一応市内なので大きな問題はなかったみたいです」
「でも心配ですよね…」
「ですね…」
「私も何かお手伝いたいと思っているので、何か手助けが必要だったら言ってください。」
そんなことを言われた。あの震災の映像を見て、誰もが自分の無力感に気付いたんだと思う。だからこそ、自分に何か出来ることはないだろうかと考える機会になった。もし、彼女のような人が大勢いたら、世の中がもっと素晴らしくなるだろうなと思った。
その後で、家具をどれにするか相談にのってもらう。その時の彼女はとてもアクティブで、実際にイスに座ってみせたり、柄を選ぶために店内を走り回ったり、レイアウトするためにあれこれ持ち運んだりしてみせた。そんな楽しそうに仕事をする姿が輝いて見えた。これは今の自分にはないものだと思う。
まだ会って2度目なのに、会話するととても話しやすい気がした。たぶん、気が合うタイプなんだと思う。考え方がポジティブで、明快で、考えていることを理解してくれる。彼女のような人は今の会社にはいない。
恋愛感情の好き嫌いではなく、ただ彼女の持つ雰囲気が心地良かった。そんな存在になれたら良いなと感じた。それなら悩んでいた物事に対して、前向きに上手く進んでいけるような気がする。
たぶん誰もが輝くことを目指して生きている。そして、明日は今日より良くなると信じて行動している。そういう考えの人が増えたら世の中は今よりも素晴らしくて、居心地の良い世界になるはずだ。
全ての相談が終わると、彼女は別れ際に笑顔も見せずに言った。
「ほんとに困ってることがあったら気軽におっしゃってください。何でもお手伝いしますから。」
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