karin: April 2009アーカイブ

暗号

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「ねえ、何でMなの?」


「うん?」




あらためてそう聞き直す。




「これ、なんでMなの?」


「ああ、BWだね」




そんな意味不明な会話。


彼女はモニターを確認して指を指しながら言う。




「そっか、こっちはモノクロなんだ」


「そう、だからモノクロのM」


「じゃあ、BWにしておくね」




ブラックとホワイトだからファイル名末尾にBWと付ける決まりになっている。


問題のファイル名がMで終わってたので、彼女が混乱したらしい。



決して性癖的にSかMかの話じゃない。


まあ、Mで合ってるけど…。



よし、そろそろ死ぬか。




今週はイベント満載だったが、いつものように進展なし。


会社の女の子と2人きりで先方のところに行き少し仲良くなったり、


週末には彼女と上司の飲み会に付き合わされた。



その席で彼女は言う。




「キミって面白いよね?」


「そう?」




そう聞きなおすと、「うん」と笑顔で頷く。


変わってるという意味で、決して誉め言葉じゃない。




「どんなところが?」




意地悪にそう問い直すと、彼女は少し考えはじめた。




「うーん…。まずは、箸の持ち方かな?」




いや、確かに持ち方おかしいけど。


上司が席を立ったタイミングで彼女は真顔になって言う。




「あの人とずっと2人きりだとさすがに辛くてさ…」


「うん」


「たまに別の血を入れたいなって思ってね」




彼女の真意はすぐに理解ができた。



彼女は上司に不満をぶつけ、宣戦布告するように主張した。


たぶん、そのための仲裁役として呼ばれたんだろう。


横で聞き役に徹してるだけだから何の役にも立ってないけれど。



別の日には、他の女性と2人きりでランチを食べに行った。


特に異性として意識してないけれど、話の流れとは言え不思議だった。



決して経験豊富な訳じゃないけど、意外と何とかなる。





「こんなときばっかりでごめんね」




そんなメールが会社の女の子からきた。


今日は上司が昼時に出掛けているため、


彼女のお昼に付き合う約束になった。



二人で中華屋に行く。


席について注文を決め、雑談をしていた。


そのうちに彼女が言い出す。




「わたし出無精なんだよね、だから土日も家にいるの。」


「ふーん」




前は土日はとにかく忙しい、だから遊びに誘わないで欲しい。


そんなふうに言われたことを思い出す。


今にして思えば嫌われていたのかなと彼女を見ると




「あ、予定があることもあるけどね…」


「でも、俺も出無精なとこあるかもしれない」


「ふーん、そうなんだ」


「うん」




と、頷いて料理を口に運ぶ。


そのうち話題は変わって、彼女が言う。




「営業の人がさ、わたしのこと好きなの知ってるよね?」


「どうだったかな…」


「言ったよ!たぶん。それでね、あの人が言うの。


仕事をがんばった後に気を抜いてる瞬間が好きなんだって」


「へー」


「でもあの人の仕事のせいで苦労してるんだよね。」


「うんうん」




続けて彼女は上機嫌そうにして言う。




「どうせ好きって言うならさ、仕事場とかじゃなくプライベートで


飲みに誘ったりしてさ、好きって言えば良いのにね」




そんなことを彼女は遠くを見ながら言う。



やっぱり職場恋愛って難しいっぽい。


そんな考え事を巡らせながら、味の分からないランチタイムは終わった。





「ねえ、わたしたち結婚しちゃおっか?」




会社の女の子に言われた。


その告白はあまりに唐突で驚いたため、早口で答える。




「いや、でもまだ付き合ってもないし、


お互いのこともよく分からないから、まず付き合って…」




そんなふうに長々と言い訳をしていたと思う。


心を幸福感でいっぱいにしながら…。



と、そこで目が覚めた。



まさかの夢オチ。


きっとブログに書く文章を考えていたせいだ。


だから記しておくことにする。



先日、彼女と上司を含む3人で書類をまとめていた。


そこで彼女の間違いを指摘する上司。



彼女は怒られることに過敏になっていて、


小さなミスなのに必要以上に申し訳なさそうに謝っていた。


文字通り、相手の顔色をうかがうように上司の目だけを見て


ビクビクと怖がっているように見えた。



そんな彼女を救いたかった。


そういう話を書こうとしたせいで夢を見たようだ。



現実よりも夢のほうが幸せで、ずっと眠っていたい気持ちだった。




最近になってメモを取ることが増えた。



人は忘れてしまうことがある。


それがどんな重要なことであっても。



だから、思っていることを常に紙に書いて見返さないと


そのときの感情や考えていることを思い出せなかったりする。


なんだか記憶力がない人になった気分だ。



けれどスケジュールを立て、目標を決めていかなければ、


頭で分かっていても行動ができなかったりする。


忙しい、疲れた、そんなことを言い訳にして逃げてしまう。




水は低きに流れ、人の心もまた低きに流れる




攻殻機動隊2ndのそんなセリフを思い出す。



行動しようと思っていてもテレビを見続けてしまったり、


他のどうでもいいことで頭が占有されてしまう。


それが続いて、時間のロストが膨大に膨れ上がっていく。



思っていたけど実現しなかったことはきっと多いはず。




お金も投資できるけれど、時間も投資できる




「何に時間を使うのか」


これは投資によく似ていると思った。



絵だって何時間も描きつづけないと上達しなかったり、


女の子と一緒にいる時間に投資しないと恋人になれなかったり…。



毎日仕事をしていても、上手く時間を配分して投資しないと


成長するスピードは著しく低下する。


人は臆病だし現状維持は楽だけど、それは何も生み出さない。



だから昔の偉い人は言いました。




求めよ、さらば与えられん