感情の生き物
「ねえ、これ知ってる?」
そう会社の女の子に話しかけた。
「これさ、今の状況で見せる?」
苦笑するように彼女は顔を向けて言った。
その日の彼女は営業相手に意見をぶつけて疲れているようだった。
「好きじゃなかったっけ?この人…」
ある求人情報を指差して見せると、彼女は興味をもって眺める。
もう疲れて辞めたい気持ちと重なったのかもしれない。
「でも自信ないなー」と独り言のようにつぶやく。
「やってみなよ」なんて後押しをしたけど、彼女の意見は変わらなかった。
そして後日。
「今の状況…景気がよければ一日でも早く辞めるのに!」
そう強い口調で言われた。
帰りのエレベーターで一緒になり話し込むうちに感情的になる彼女。
「あの人とも喧嘩しちゃったしさぁ」
と、上司の名前を挙げる。
それで数分の間だけど、彼女の不満と愚痴を聞いた。
良いアドバイスなんてできなかった。
感情的になる彼女に「よくなればいいけどね」と気持ちを込めて言った。
彼女はそれに対して「でも、変わらないね」と寂しそうに呟いた。
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