男の子と女の子
会社の女の子が、彼女の信頼する上司『パパ』に自慢げに言う。
「今日は久しぶりに会社にスカートはいてきたんだよ」
以前に彼女のスカート姿が見たいと話していたから、何か話題を振ってくるか期待していたけれど、彼女はパパに報告するだけだった。自分からはあえて何も言わない。そういう意地悪をする。
彼女に対して距離をおいていると、今日は彼女から何度か話しかけに来た。以前から彼女のことを酷く罵っていた別の上司が、仕事のトラブルに見舞われて怒られていた。それを見た彼女が嬉しそうに言う。
「わたし、今日は気分が良いんだ」
「どうして?」
「あの人がさ、あんな目にあってるから」
そう笑顔で言う彼女に、そうだねと答える。散々な扱いを受けていた彼女も、最近になって自信を見せはじめ、最初に会った頃の弱気な印象とは違ってきた。それは良いことだし、望んでいたことだけど、それとは別に自分が必要とされてない寂しい気持ちもある。
2ヵ月の間、研修生として年下の女の子がいた。その子が辞める日がきて、全く会話もなかったけれど形式的なお別れ会をする。ただケーキを食べながらお茶を飲むだけなんだけど、参加した人は時間帯のせいもあり、パパと自分を除けば全員女性だった。
それを見た会社の女の子、普段よく会話に出てくる彼女が全体を見回すようにして言う。
「あれ、今日は男1人だね」
彼女の考えでは、パパは男扱いじゃなかったらしい。それから彼女と目が合って続けるように
「キミも女の子っぽいよね」
と、微笑むようにして言う。嗜好がでしょ?と答えようとしたけど、どうでも良くなって彼女と目を反らす。思えば社会に出てからは女の子とばかり話してきたし、その人を演じてみたり意識することで影響を受け、女の子っぽい部分が強調されているのかも知れない。
普段、スカートをはかずに男らしく振舞う彼女。それとは逆に女の子っぽい雰囲気と言われた自分。トランスジェンダーみたいな2人が付き合うことなんて無いだろう。
彼女はケーキを半分ほど食べ終えると、約束していたようにパパとケーキを交換した。それも周りに見せつけるように…。よし、死ぬか。
女の子は頼りにする人にだけ、甘えたり優しくしたりして、言い方は悪いけど媚びる。必要がない人には、それなりに関係が悪化しない程度に親しく振舞う。だから、自分も親しいように演じられているだけなんじゃないか、利用されているんじゃないかと疑心暗鬼になる。
普段から彼女と会話していたけど、積極的に誘って全敗したこと。やっぱり嫌われていたのかな…。勘違いしたまま突き進んで、それを冷たくあしらわれて、やっぱり陰で彼女に悪口とか言われているんじゃないだろうか。そんな不安に襲われる。
女の子にはスネオしかいない
女の子は強いものに媚びる習性があるという意味で使われているらしい。これがあながち間違ってないかも、なんて思った。盾にはならないし、強さもない。年齢も精神も未熟なままだ。
もし本当に全員がスネオなら絶望する。かと言って、男に走る気も無いけど。
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