意地っ張り

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会社の女の子と仕事以外で話さないと心に決めて距離を置く。話しかけられても、そうだねなんて言葉で会話を区切る。そういう彼女を試すような行動をした。それでも彼女からは積極的な姿勢は見られなかったし、子供じみた自分の行為の無意味さにも気付いた。




女の子が話しかけやすい人はモテる




経験上そんな気がしていて、それとは全くの逆のことをしていないか疑問に思った。そのこととは別に、話しかけたい気持ちを無理やり抑え付けることで胸が痛くなる。話しかけるほうが楽なんじゃないかと思った。



普段みたいに好みそうな話題を探して話しかける。彼女も話しかけられた安心感か、それとも暇があっただけなのか、食い付くようにして話題を膨らませてきた。それでも一歩距離をおき、彼女が手を伸ばしても触れられない位置で話した。



けど、そんなに話すこともないし…。




そう思って話題を切り上げた。



それから集中して仕事をしていると、後ろを人が通り過ぎる気配がした。それは振り向かなくても彼女だと分かった。けれど話しかけにくいオーラが出ていたのか、二度三度後ろを通り過ぎる気配から声を掛けられることはなかった。仕事の邪魔をしたくないという理由であれば、それは彼女らしいなと思った。




意地になっている自分




このまま冷たく振舞って彼女から嫌われることはあっても、好かれることはないだろう。話さないことによる不安が原因なのか、相変わらず胸の痛みが続いて再び彼女に話しかけるために側に行く。



「今、話しかけて大丈夫?」


「うん、平気。」


「こういうの作ってみたんだけどさ…」


「そうなんだ」




集中してできた仕事を見せると彼女はそれをじっくりと見るようにして言う。



「うーん…、わたしはここが違うと思うなぁー。」




そうして次々と彼女が楽しそうに問題点を指摘していく。



「こっちも変えない?ちなみに、わたしがやるときはね…」




そう言ってから机の引き出しを開けて、ファイルを取り出し説明してくれた。



「じゃあ、言われた通りにしてみる」




そう答えて席に戻ると、言い残したことがあるかのように彼女が歩いて来る気配がした。振り向くと彼女がいて、わざと冗談だと分かるような表情をしてから口を開く。



「わたしにだって教えられることあるんだからね」




だって。意地張って、かわいいなー。いや彼女に教えられたいことは『仕事以外にも』色々あるんだけど、でもそれって恋人にならないと無理じゃん、みたいな。だって、恋愛未経験だし。



彼女は先日あった飲み会でのことも話題にしてきて、



「あれは3年分のことを言い切ったんだよ」




と、自分に言い訳するように話した。そのことで彼女と話さなかった訳じゃないけれど、彼女はどうしても言いたかったのだろう。



「でも、言いたいこと言えて良かったじゃん」


「わたしもあそこまで言えると思わなかった、相当危ない心境なのかもね…」


「そうなの?」


「うん。だって絶対にあんなこと言えないもん」



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このページは、karinがSeptember 4, 2008 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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