ALL or NOTHING
会社の女の子と話すこともないので、朝からずっと黙っている。彼女自身すら誰と話すこともなかった。そんな均衡状態を破るようにして、彼女の信頼する上司である愛称パパが煙草を吸いに外へと向かう。それを察知して、彼女がパパの後を追うようにトテトテと歩いていった。
こういう場面ばかり見てるせいで異常なくらい精神的に疲労してしまう。自分に都合よく考えようとしても、事実だけは変えられない。彼女はパパしか頼りにしてない。
だからもういいんだ。あきらめた。
と、いじける。子供みたいに拗ねて、彼女を拒否する。
「どうして黙ってるの?」
「いや、話すことが特にないから」
「…そう?前はよく話してたじゃん」
「あんまり好かれてないようだしさ…」
そんなシミュレーションばかり考えてた。幼稚な精神、イジワルな態度。嫌われる要因にはなれど、好かれる要因にはならない。女の子に対して子供っぽいことばかりしてる。
あきらめたし、どうでもいいや。
そう改めて思い直し、自分の周囲にどんどん壁を作っていく。勝手にすれば良いじゃん。自分はここに居座る気もないし、次のことを考えよう。自分の人生だし、相手に振り回されなかっただけ良かったじゃないか。そうやって気持ちを切り替えた。
午後になり上司が1人辞めたことで出来た穴。それを埋めるために別の上司から相談を受けていると、彼女が心配そうにやってきて現状を説明しにきた。それまでの会話がなかったことに触れることもなく、仕事の話だけを丁寧に説明していく彼女に対して
「まあ、そんな感じだよね」
そうやる気なさげに答えながら、彼女の顔を見ていた。
あれ、普段より可愛くなくね?
化粧のノリ具合なのか、日頃の疲れからなのか。何だか美しく可愛らしく見えていた彼女が魅力的に見えなかった。なんか、よく見ると不細工じゃね?とさえ思った。
女の子とエッチした後で、冷静になって顔を見ると不細工だった…、みたいな。いや、そんな経験ないけど。手を握ったことすらない。
あまりに好きだったせいか、勝手に彼女の顔を美しいものだと思い込んでいたのか。それとも好きな気持ちを裏切られて、今以上に心が傷つくことがないよう脳が不細工な顔に見せたのか。お酒とか煙草とか夜更かしとか…、そんな彼女の不摂生な暮らしぶりが影響してきたのか。
原因が何であれ、彼女に対するあきらめの気持ちは大きくなった。
「あとで完成したらアドバイスもらいに行くね」
そう言った彼女だけど、一度も来なかったし、無視するようにパパに相談してたこと。これが彼女の考えなんだ。それは『良い男がいたら彼氏を捨てて乗り換えよう!』みたいに見えて不愉快だった。
いや、彼氏の立場なんかじゃなかったけど…。
オール・オア・ナッシング
それまで全力で彼女をサポートしたし、アドバイスもしたけど、彼女はそれを求めてなかった。助けて欲しいとき、自分が頼られれば全力で助けるけど、必要とされてないなら何1つとして助けないし教えない。だから今はナッシング。何もしない。全力出したって相手にされなきゃ意味がない。
一度だけデートしてもらったし、もう思い残すことはない。よし、死ぬか。
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