声カワイイ
「声きれいだよね」
そう言って、会社の女の子を誉めてみた。彼女は全体的にトーンの高い、とても耳馴染みの良い声をしている。女の子らしい可愛いソフトさで、周囲の雑音にまぎれると儚く消えてしまうような声質。
そんな声を誉めると彼女は首を傾げるようにしてから、その声で言う。
「そうかな?」
「言われない?」
「うん、そんなこと一度も言われたことないよ」
すこしの間をおいてから、表現を変えるようにして言う。
「でも、声カワイイ」
言い終わる頃に顔を見るようにすると含み笑いをしている彼女。どうしたの?と聞くように答えを待つと彼女は言う。
「じゃあ、そういう声でわたしは他人の悪口とか言ってるんだね」
うんと頷くと、また照れたような笑い方をされる。
「本当に、声カワイイとか言われない?」
「言われないよ」
「電話とかでも?」
「うん、全然」
そっか、なんて答えて納得してから思い立ったように言う。
「あのさ、美味しいラーメン屋さんがあるんだけど、今度一緒に行かない?」
「美味しいラーメン屋さん?」
「うん、今週一度は行きたいんだけど…」
「今週かあ」
そう言ってカレンダーを見る彼女。立てていた予定を考えるように悩むような声を出して、そこから上目遣いをするように言ってくる。
「今週じゃないとダメ?」
「うん、今週が良い」
彼女も行きたいような雰囲気を出すんだけど、どうにも月末の旅行での金銭面が気にかかっているようでOKを出さない。今日、彼女は病院に行き余計な出費があったことを話してくれていたので強引に誘うことはせずに
「無理しなくて良いよ」
と、伝えた。ほんとは、夕食を食べてから、近所を軽くデートするように歩いて、アイスを一緒に食べる予定まであったけれど仕方ない。今回はあきらめる。彼女はラーメンなら『しょうゆ』じゃなく『とんこつ』が良いと言うし、上手く噛み合わなかったとこもあるし…。
女の子を誉めてから誘いだす
こういう方が女の子も誘いにのりやすい気がする。思い付きで声をかけていたときよりも、彼女は具体的な予定の話をしてくれたし、雰囲気ってこうして作るものだと改めて感じた。
8月の旅行。それが終わるまでは、彼女の意識も全部そっちに持っていかれてしまっているし、アピールする間もない。
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