フェイクスマイル

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会社の女の子に実家から持ち帰った粗品をプレゼントしようとすると、彼女はすぐに感付いた様に言う。



「もしかしてお酒?」



頷いて、そうだよと答えると彼女は言う。



「ちょうど、家のお酒切らせてたんだよね。」


「どうして、お酒って分かったの?」


「その大きさで分かるよ」



と笑顔で答えてから、ありがとうと改めて言われた。嬉しそうにお酒を眺める彼女に、さらにアピールをしてみる。



「年下ってさ…」


「うん?」


「年下って言うこと聞いて買ってきてくれるからさ、結構良いって思わない?」



そう言うと、かつぜつが悪かったせいか何度か彼女に聞きなおされた。いや、そうして彼女は何か良い答えを探していたのかもしれないけど…。



「年下、結構良いって思わない?」


「まあ…」



だって。ほとんど相手にされてない。よし、死ぬか!



むしろ、アピールだって気付かなかったなんてことが有り得なくもない。たしかに答えには困るだろうけど…。



そんなことがあった後、一度喧嘩したとき以来で彼女から仕事を頼まれた。


喧嘩する - 迎撃blog



「それで、こんな感じなんだけどさ…」


「うん」



そんな風に無難に受け答えしていた。特に難しいことでもなかったし、彼女も前もって準備をしてくれていたから説明もとても分かり易かった。彼女が言う。



「じゃあ、大丈夫?」


「うん、全然大丈夫。」



そう言って手元の書類を集めて、視線を上げてみると彼女がもの凄い笑みを浮かべていて、首を傾げる仕草をすると彼女はそれに答えるように言う。



「ふふ、今日は質問とかしないの?」


「うん、今日はね」



そう言ってから、彼女に微笑み返してすこしだけ幸せな気分になった。





「お盆に実家に帰ってさ、バーベキューと花火してきたんだけど結構楽しくてさ…」



そう伝えると、彼女は楽しそうな顔をして聞いてくれる。でも自分が言いたいことをまとめ切れず、意味もない無駄話をしそうになるのが怖くて、極端に自信をなくして思わず口に出てしまう。



「まあ、別に大したことないんだけどさ…」



そう言うと彼女は、「全然そんなことないよ」とでも言うように首を大きく横に振る。こういう些細な仕草に彼女の性格の全てがにじみ出ていて、もの凄く魅力的に見えてしまう。そんな彼女ともう少し雑談を楽しみたかったけど、周囲が慌ただしく動いていたし、消極的な気持ちになってしまい言いたいことを上手く伝えられなかった。



帰り前の夕方くらいに彼女を誘ってみた。



「ねえ、帰りにさ…ラーメン食わない?」



すこし考える間があって彼女が答える。



「さっきお菓子食べたし、お腹減ってないからやめとく…」



このところ、ほとんど毎日のように誘っているのに一度も誘い出せない。お昼に誘っても断られ、夕食に誘ってもダメで、結果的に気軽にラーメンなら…と思っていたのに全然のって来ない。嫌われてるのか、それとも本当に旅行のための節約なのか…。




こうなったらドラマでイケメンがやってるような、肘を水平に出した状態で両手を顔のすこし前に置き、ウィンクしながら手をパチンと合わせて



「一回だけだから!ね!」



って彼女に強引に頼み込むしかない。もちろん、一回で終わる訳もないし、夜は狼のようになってしまうんだけど。それでも何度か言ってみる。



「お願い!何もしないから!一回だけ!」



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このページは、karinがAugust 18, 2008 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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