女の子の読心術

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「それでさ…」


「うん、何?」



首を傾げるようにしてこちらの表情を覗き込まれる。



「紹介してもらうんだよね?」


「うん?…なんだっけ?」


「今度の花火に行く日にさ、友達に男を紹介してもらうんでしょ?」


「あー、うん。そうだよ」


「紹介ってさ、あんまり上手く行かないと思うよ?」


「それもそうなんだけどさ、やっぱり結婚もしたいしさ。」


「うん…」


「結構、1人で居るのって寂しいんだよ。安い給料で遅くまで働かされたりして疲れるし。」


「そうだね」


「子供産むってなったときに30を過ぎるのは良くないと思っててね」



ごめん、話が広がりすぎて恋愛未経験者にはつらい。そう思ってアピールする話題に戻してみる。



「でも、絶対に紹介じゃ上手くいかないって」


「それは会ってみなきゃ分かんないよ」



彼女の横に座って、チラチラ彼女と目を合わせる。



「花火大会、俺と一緒に行かない?」


「うーん、でも先約があるし…」


「俺は一緒に行きたい」



そう強く言って彼女の様子を見る。彼女がすこし叱るような口調で言う。



「でも、友達との約束は破れないでしょ?」


「…」



破れる?破れない?そう頭で言葉がループして何も言えなくなる。どうにか理由をつけて、一緒に行くことにしたいのに良い言葉が見つからない。仕方なく、ウンと頷くと彼女が勝ち誇ったように言う。



「でしょう?」



負けた…。口では女の子に勝てないみたいだ。そのあとも、「一緒に行きたい」と言いたかったのに話題を変えるようにして上手く逃げられた。



「仕方ないから良い席から写真撮ってメールで送るよ」



そう彼女に言うと



「わたしは人混みの中からの写真撮って送れば良いの?」



と冗談を返す。仕方ない、今回の東京湾大華火祭は誘うのをあきらめるか…。



帰り際に彼女と時間を合わせて帰ろうと準備していると、彼女が一足先にエレベーターに向かおうとする。じゃあ、一緒に帰るなんてことを伝える。すると彼女が言う。



「あ、わたし今日は用事あるから別の駅に行くんだけど…」


「そうなの?」


「うん…」



困った。2人きりで駅まで帰るチャンスを逃した、なんて考えているとわざと男っぽい口調で彼女が言う。



「そんな、寂しそうな顔するなよ」



そう捨てセリフを吐いて去っていく。こっちの心境までも見抜かれている。やっぱり女の子は怖い。



今日も自信なさそうに浴衣が似合わないという彼女に「そんなことない」と言えたし、花火大会の件は残念だったけれどアピールは出来たし…。何よりも好きって感情には気付いてもらえたんじゃないかと思ってる。



話していても、弟みたいな扱いされてるんだけどさ…。


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このページは、karinがAugust 6, 2008 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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