紹介の話
「携帯、鳴ってるよ?」
そう会社の女の子に言う。彼女は仕事に振り回されることが多く、1人で考え込んでしまうタイプだから彼女をサポートをしていた。そんな仕事も一息ついて、コンビニで買ってきたPINOのマンゴー味を一緒に食べていると彼女の携帯が鳴った。
「あ、ほんとだ」
そう言って携帯に手を伸ばし、メールを確認する。読んでから、すこしだけ笑いを溢すのが気になって声を掛ける。
「何?紹介の話?」
「あ、違う。今度の休みにね、お盆に帰るって話…」
「そっか」
ウンと頷く彼女。そのままPINOの箱に興味を示したようで、手に持って色んな角度から眺めていた。そんなことで他愛のない雑談をして、それをゴミ箱に入れてから彼女に呟くように言う。
「紹介…、上手くいかなきゃいいなー」
「うん、何?」
声の出し方が小さすぎたのか良く聞こえなかったみたい。少し彼女を見てから同じことを言う。
「いや、紹介が上手くいかなきゃいいなって…」
「なんじゃそりゃ」
そうツッコミをいれられた。普段から察しの良い彼女ならこれで伝わると思うけど、恋愛とかに発展させたくないから誤魔化すんだろうな。誤魔化された。
ここで強気にストレートに好きだからなんて言える勇気がないし、伝えてぎくしゃくするくらいなら今のままの関係が心地良い。けれど、もしも彼女と紹介された男が恋人関係になることが今の自分には受け入れられないんだ。
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