恋愛攻勢

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胸の前で親指と人差し指を突き出すようにして三角を作る。それを、前面に押し出して…




「心の扉、アンロック!」



なんて叫んでみて、しゅごキャラ!ばりのキャラチェンジをして積極的に会社の女の子にアピールしてみた。「てか、お前誰だよ」くらいに思われるテンションで彼女と全面戦争してみた。



朝の攻勢。久しぶりに腹の底から「おはようございます」と大声で挨拶してみたら、よくスルーされる営業連中から返事された。普段どんだけ存在感ないんだよ…。



そのまま、朝の会議に出席する。会社の女の子に風邪ひいたと言われ、いつもはローテンションで気が乗らないけど笑顔で話に応える。会議のあとに「今日は服装の雰囲気が若いね」と経理の女性に言われて、ますます調子付く。まだ20代半ばなんだよ。



会議のあとに、目当ての女の子の側に行って雑談。主に前日に行ったプールの話を聞きつつ、自分が花火大会の下見に行ったことを話す。



「それで、行ってみたらお祭りとかやっててさ…」


「あ、そういえばメール来てたね」



気付いたらメール返せよ、なんて野暮なことを言わずに笑顔で対応。そうそう、楽しかったよなんて答える。



お昼の攻勢。お腹が空く時間帯になって、彼女に聞いてみる。



「今日は…、お弁当?」


「うん、そうだよ」


「あのさ、近くの公園で食べない?」


「公園…?」


「でも、今日暑いかなー」



うんうん、と彼女に二度も頷かれる。そうしてから、彼女は口を開いて



「だったら、明日どっか食べに行くほうが良くない?」


「じゃあ、それで…」



そう言って口約束をする。どこまで本気なのか分からないのが女の子の怖いところ。翌日になって、忘れてたーとか言われて放置される場合もよくあるので、こっちも冗談半分で口を合わせておく。



お昼から戻ってきて、開口一番。



「外でご飯食べれるなんてレベルじゃなかったよ」



と、暑いような仕草をして彼女に報告する。そのあとに、「明日一緒にランチ行こうね」と念をおしてみる。どんだけ甘えキャラだよ…。



ちょくちょく彼女と会話を交えながら仕事をして、小腹が空いてきた頃に言う。



「今日早く帰れたらさ、お肉食べに行かない?」


「お肉?」


「そう、焼肉じゃないよ」



うーん、と言ってから天井の方を見つめて考える彼女。



「今日やっておきたい仕事が多いんだけど、どうしよう」


「じゃあ、明日にする?」


「わたし、旅行に行きたいからお金貯めててさ。だから、あんまりお金使えないよ?」


「大丈夫、1000円ちょっとくらいだから…」


「うん…それなら」



と、一応納得した様子を見せる。そのあとにも彼女に接しつつ、不満を言ったり手伝ってあげたりしながら仕事をする。もう、普段よりもテンション高い高い。死ぬの?くらいの勢い。



今日を一生懸命に生きる




コンビニで買ってきたPINOを彼女と分け合って食べてみたり、まさにフリーダム。自由。



「さん付けっておかしくない?」



と、入社以来の彼女の癖にツッコミをいれてみた。



「そう?」


「でも、え?年上ですよね?」



そう、彼女にボケるように言ってみる。



「そうだけど、わたしより下の人と仕事したことなくてね…」


「でも…、ちょっと距離感感じるかも」



そう柔らかく伝えて、距離を縮めていく提案をする。これは、別の機会に言いたかったけれど普通に言えたこと。そんな自分に驚いた。



そのまま遅くまで一緒に仕事をして、彼女と上司に付き添って電車に乗る。上司が一駅目で降りて、自分も普段はそこで乗り換えるけれど今日は別ルートで帰ることにする。雨も酷かったし、天候も最悪だったから。



こうして、3駅くらい話が出来るなんて都合よく考えて話のペースを探っていた。たぶん、楽しく会話していたと思う。座るか座らないか聞かれて、立ったままで話をしていて…。



そこから一駅すると彼女が言う。



「わたし、ここで乗り換えだから」


「そっか、意外と早いね」


「うん。じゃあ、また明日ね」


「お肉食べに行こうね」


「お昼?」


「ううん、夜に仕事早く終わったら…」


「分かった」


「じゃあね」



そう軽い挨拶をして別れた。でもって、後から調べたら2,3駅通過してからでも乗り換えできるっぽいんだが、これは…?



可能性。



このままだと、好きになりすぎて危険!だから降りる。



可能性。



この人テンションおかしい。何するか分かんないから降りよう。




間違いなく後者。たぶん、ちょっと引いていた雰囲気に見えた。普段とキャラ違うからか警戒したんだろうな…。強引に誘いまくって、無理やりなんかしそうに見えたのかも知れない。



それにしても、こんだけ誘って好き好きってアピっておけば何とかなるだろう。行動を起こしてみたら、またまた予想以上に彼女との距離感を感じてしまった。ただ、東京湾大華火祭までに一度は食事に行っておきたい。それが、たぶん今後の重要な伏線となる気がしてる。



彼女に浴衣の話もしてみたけど、彼女は友達と行く気みたいだったし自分とは一緒に行ってくれないだろう。それこそ、何されるか分かったもんじゃない。




女の子の警戒心は、男でも分かる



そう、今日の彼女を見て感じた。まず、そこから突破していかなきゃ進展なんてない。



結果的にはアンロックしたつもりが、ロックオンしてしまったみたいだ


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このページは、karinがAugust 4, 2008 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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