運命的な何か
「結婚したいなって人と出会ったことがなかったんじゃない?」
そう会社の上司に言われる。上司と会社の女の子と自分の3人で、何度目かの飲み会だけれど今日は趣向を変えてコンビニの缶ビールだ。それを口に含みながら答える。
「まあ、そうですけど…」
いや、正確に言えば付き合ったことすらない。そもそも大前提が間違っているわけで…。なんて言えるはずもなく会話は流れていった。
そのときに一緒にいた会社の女の子に言われる。
「わたしとキミはさ、性格とか正反対だよね」
「うん」
「っていうか、性別が逆っぽい…」
この彼女の意見には同意で、不思議なくらい向いてる方向が間逆なんだけど仕事という一点でのみ繋がっている。だから、魅力的に見えてしまうのかも知れない。
けれど、彼女はこちらを見ることもないように上司に対して言う。
「ぜひ良い人がいたら紹介してくださいね」
「もう、俺の年代の同級生はみんな結婚しているからなぁ」
「わたし、今度の花火大会には行きたくて」
「東京湾の?」
「そう。その日に友達から男紹介してもらおうかなって話をしているんですけど…」
自分が彼女に対してしようかと考えていた、「恋人作ろうかな」アピールで気をひく作戦を逆にやられてしまう。この精神攻撃はされると結構効くみたいだ。
もう勝手にすれば良いじゃん
そう思ってしまい、あきらめモード突入。話している間も上司ばかり見て、こっちは全然見てこないから緩めの胸元をばっちり見てやったぜ!みたいな。もう付き合うとか恋人とか恋愛とか本気で無理っぽい雰囲気になってきた。よし、死ぬか!
そんなことを思って帰宅してみると、郵便受けにハガキがはいっていた。裏返して見てみると…
“東京湾大華火祭 入場整理券”
今月始めに応募したのが届いてた。これは彼女を誘えってフラグが!話題を出した日に届くなんてすっげー運命的な、もとい作為的なものを感じる。これはあれをやるときだな。
「ねえ、花火好きなの?」
「うん。わたしはね、友達と東京湾のやつに行く予定なんだ」
「…オレじゃダメか?」
そう言って整理券を彼女に見せて…。
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