恋人ができない理由

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会社の女の子に引き止められる。



「もう帰っちゃうの?」


「うん」


「明日なんか用事あるの?」


「いや…、悪酔いしちゃうから」



そう言って会社の飲み会から無事離脱してきた。周りのノリについていけないので、2次会のカラオケまでテンションを維持できなかった。上司に嫌味っぽいことも言われたし、もうやる気ゼロ。



飲み会で勢いよくお酒を飲んでいる間、周りの様子を探り探り席をずらして彼女の側に座って話をしようと近づいた。そして、上手く接近して話せたけど、彼女と話をしていたというより、彼女の上司を通して彼女の話をしただけだ。



「だから、今までも弱気になる部分があってね…」



そんな上司が言う彼女の身の上話をしていると、少し目に涙を溜め始める彼女。もしかしたら、初めて弱味を見てしまったのかもなんて思う。そこで上司に思っていたことを話した。



「そう、だから彼女は全然自信を持って仕事をできるし、何も問題ないですよね」



そうだよ、というように頷く上司。彼女のほうに目をやると、変わらない様子でずーっと上司を涙を溜めながら見ている。そして、口を開く彼女。



「いつも、彼はこういうこと言うんですよ」



それに反論するように、だから大丈夫なんだよと彼女の言葉に重ねるように言う。けれど、彼女は一向にこっちを見る様子も素振りも何もない。なんか、間違ってるのかな…。今にも泣き出しそうな彼女。弱味を見せたくないのか、はたまた嫌われているのか全然、一度も彼女と目が合わない。よし、死ぬか!



彼女が信じているものは、必ず年上なのか。それとも、利用するために媚びているのか分からないから凄く不安に思う。もっと頼りにしてくれたなら、こっちも自信を持てるのに。



そうこうしてお手洗いに行って戻ったら、彼女は別の席に移動していた。それが、新しく入って彼女を助ける上司の側で、自分はもう必要ないんだと改めて感じてしまった。




「自分は、もうダメかなって思ってる」



そう、水曜日の飲み会で言ったときにその上司は「そんなことない」と言った。それを見る彼女の様子はどこか火照ったような…、何ともいえない表情をしていた。もうダメだと思った。自分が。



その上司を批判したら、絶対に彼女に嫌われてしまうと思ったし。何だかどうでも良くなってしまった。



そして、今の飲み会。彼女が参加していること以外に興味もないから、ただ周りの下ネタに愛想笑いしていた。くだらない、乾いた笑い。その後で二次会としてカラオケに行こうという話になったが、興味も薄れて酔いも冷めてしまい帰るというアピールをした。すると、彼女との冒頭の会話に戻る。



「もう帰っちゃうの?」


「うん」


「明日なんか用事あるの?」


「いや…、悪酔いしちゃうから」



彼女は全然お酒を飲んでいなかったし、なんだか極端に冷めた気分になってしまった。彼女は周りに対してフォローするように言う。



「今度、3人で一緒に行こうね」



と、上司を含めて言う。2人きりなら喜んで行くのにな…。信用されていないんだろう。だから、この場には、全く自分がいる必要性がない。その上司といれば良いじゃん。どう見ても都合よく利用されていると思ってしまう。それに、上司の機嫌取りなんてご免だし、彼女もそれなりに楽しんでいたようだから放置で。



恋人なんて思うように作れなくて、自分が想うほど想われてはいない。彼女が言葉にする“助けてくれた人物”にはいつも2人の名前を出し、自分だけじゃなく後から来た上司のことも必ず含める。そういうことが、溜め息の原因になっているんだ。



だから、彼女の恋人にはなれない。


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このページは、karinがJuly 25, 2008 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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