自己アピール
「キミってさ、アピールの仕方が上手くないんじゃない?」
会社の女の子がお酒の飲み会のあとの帰り道でこんなことを言った。すこし考えている素振りをすると、フォローするように続けて言う。
「あ、仕事の話じゃなくてね」
彼女が言いたかったことは、周りに対しての自己アピールという意味なのか、または彼女自身へのアピールなのか分からなかった。
アピールじゃないかも知れないけど、デートしたら次のデートの予定を作らなきゃ関係が続いていかないと思っている。誘ってみたい気持ちもあるのに、自分を知られることが凄く怖い。受け入れてもらえる自信もない。彼女に言う。
「ほんとにさ、性格とか趣味とか正反対だよね?」
「うん」
そこで少しの間があって、彼女は思い付いたかのように口を開いた。
「…でもさ、誰だって欠点とかあるものなんだよ?」
「あるかもね」
「そう。だから、完璧なんてないんだよ。だから、面白いんじゃん。」
彼女はお酒の席で酔いながらこんなことも言っていた。
「わたしは好きな人、心に決めた人になら全てを捧げられる。それは、仕事でも友達でも何でも捨てられると思う。…あ、けれど今の仕事は好きだし辞めたいって言ってるんじゃないよ。」
他にも彼女に質問をされた。
「過去に好きだった女の子のタイプってどんなの?」
うーん、と真剣に悩んでいると追い討ちをかけるように彼女が言う。
「あ、よく話してる子の話は無しで」
以前の会社でお世話になった子の話をよくしていて、それ以外の話を聞きたがっているようだった。しかし特に思い当たる人もいなく、答えに困ってしまう。
「あんまり、女の子にモテないからわかんないな」
「じゃあ、女の子っぽい服装着て女の子っぽい仕草の子と、男っぽい性格なんだけど中身は女の子みたいな人なら、どっちがタイプ?」
うん?と聞きなおすと、同じことを言う彼女。彼女自身は完全に後者のタイプだから、そう答えたほうが良いかなと口を開こうとしたタイミングで上司が話をさえぎって言う。
「いや、男はそういうとこで見てないから」
個人的には男っぽい性格の女の子、というか一生懸命に働いてるようなタイプの女の子が好きかも知れない。芯が強い女の子というか。それはそれで、この女の子には自分がいなきゃダメかなって思える女の子も好き。だけど、このタイプで嫌味にならない女の子は極端に少ない気もする。
そんな飲み会の翌日。会社の帰り際に、近い距離だから直接言えばいいのに何でもない一言をメールで送ってみたら、すごく楽しそうに笑ってくれた。幸せそうな笑顔を見せてくれる女の子もありかも知れない。
そのあと、くだらない話の途中で彼女が自虐的に言う。
「たぶん、わたしが愛に飢えてるんじゃない?」
そういうことを言われても、「そうなんだー」くらいで受け流しちゃうんだけど…。
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