お誘いフラグ
ぐいぐいと後ろから服を引っ張られる。
「あれ酷くない?」
そう会社の女の子が上司の愚痴を言いはじめる。うんうんと頷いて聞いてあげる。
「もー、ムカつくー!」
そう可愛らしい声でギャップのある言葉を放ちながら、肩を両手で鷲づかみにされる。そして、力を混めたりする彼女。勘違いしてしまう。
そのあとも積極的にコミュニケーションを図ろうと話しかけてくる。
「今度さ、美味しい冷やし中華食べたい」
彼女は以前一緒に食事をしたときの話題をしてきた。冷やし中華はあまり好んで食べない、そう言った彼女に、本当に美味しい冷やし中華を食べたら考えが変わるかもしれないよとアドバイスをした。そのときの話だと感じたけれど、確認のように言葉を繰り返して言う。
「冷やし中華?」
「うん、そう。」
「…?」
「だから、良いお店探しておいてよ」
「…うん、わかった」
探せる自信がなかったけど、言い訳をして逃げることもないだろうと了承する。こういう場面で優柔不断だったり、自信のない様をみせると女の子には嫌われる気がする。
その後も彼女の席の側を通ったときに話しかけられる。
「わたしはずっと思ってたんだけど…、お酒強いんじゃない?」
そう彼女に聞かれる。お酒は得意じゃないと主張していたことを探ってきた。飲み会の雰囲気もあまり好きになれないし、お酒も特に好きではない。
「そうかな?」
「絶対そうだよ。弱かったら、前のときぐらいには飲まないよー」
「じゃあ、試してみよっか?」とは言わず、お酒が飲めると納得させられて会話が終わったけど。彼女はお酒が大好きな人だから、誘われてるのかと勘違いしそうになる。
デートに誘えなかった傷が残っているし、まだ躊躇いがある。冷やし中華のお店を探すのだって、誘って欲しいって合図かも知れないし。なんてことを深く考えていたら、帰り際に彼女が周囲に対して言う。
「おなか減ったー。みそラーメンが食べたい。」
彼女が何を考えているのか読めないから、放っといて帰ってきた。
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