いじめ問題

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「誰かをいじめてないとダメな連中なんでしょう?それは、自分がいじめの対象になっちゃうから…」


「うん…」


「今はそのターゲットがわたしってだけでさ…」


「…」




前々から周囲の彼女に対する言動がおかしいと思っていた。たぶん自分は、それを回避するためにアドバイスもしていたと思う。けど、この問題の根底はもっと深いところにある。



今日だって彼女に関係のない案件で彼女が一方的に責められていた。心配になって彼女に話を聞きに行く。



「だい、じょうぶ?」


「うん、平気。」


「本当に?」


「うん。もう考えないことにしたから…」


「…。」



会話の間…。もう何て彼女に言えば良いのか分からなくなる。数秒後に彼女に言う。



「考えないっていうのも違うと思うけど…」


「でも良いんだ。わたしが考えても仕方のないことだし」


「だけどさ…」


「心配してくれるだけで良いよ」



そう笑顔を浮かべて話す彼女。でも、自分の頭の中では「違う」という言葉が延々とループしているのに、上手く言葉に表現できなくて何も言えなくなる。そして、大きくため息を吐く。その様子を彼女が笑顔で見ていて…。



自分が何をすべきか、どうすれば改善されるのか、いくら考えても分からなかった。



「何とかしてあげたいんだけど…」


「でも、いいよ。何をやったとしても、あの人たちは変わらないから…。」



もう彼女はあきらめているというか、彼らに対しては無気力な印象だった。無抵抗で言われるままにされて、責任とか何もかも全部押し付けられて…。最初にそのことを指摘したときに彼女は「分かってくれるだけで嬉しい」と言ったけど、何とかしてあげたいとずっと思っていた。



続けて彼女は言う。



「誰かをいじめてないとダメな連中なんでしょう?それは、自分がいじめの対象になっちゃうから…」


「うん…」


「今はそのターゲットがわたしってだけでさ…」


「…」



今まで「いじめ」という単語を極力避け、それを否定していた彼女が初めてそれを「いじめ」と表現した。そんなことをされても、健気に言うことを聞いて忠実に仕事をこなしていく。その様子を見るたびに苦しくなる。



自分が辞めて、彼女も早々と逃げられる環境にすることが最も確実な解決方法だけど、彼女はそうは考えていなくて、こんなことを言っていた。



「他人に押し付けて仕事を辞めるようなことはしたくない。今まで誰も仕事の引き継ぎなんてしてこなかったし、自分がそれをしてしまうのは嫌だからさ…」



彼女は他の誰からも気付かれないような細かい気遣いをする。そのことに気付いているのは自分だけ。周囲の誰からも認められないのに、どうしてここまでがんばれるんだろうか?


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このページは、karinがJuly 7, 2008 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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