たまには仕事のこと

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「“仕事を振るのが面倒になって効率が落ちた。それで、結局お金にならないんだよ”…ってわたしに言ってきて、“やっぱり良くないよ、今の体制。あの2人を辞めさせるならそのこと社長に言ったら?”って裏で文句言ってきて、もうたまんないよ…」



と、すこし涙で潤ませたような湿っぽい口調で会社の女の子が言う。可哀相に。



ちょうど制作部署だけでの会議でそんな話題を彼女はポツリポツリ言い始めた。ちょっと泣きそうになりながらだったけど、彼女は『もう誰を信じれば良いか分からない状態』と何度も繰り返すように言った。この問題は相当根深い。そして、この会議のおかげで繋がる点が見えてきたので仕事のことを書こうと思う。



まずは、少人数の会社であること。営業の上司が怒鳴るような荒っぽい人であること。その営業の立場が強く、制作の立場は弱く頼りない。そんな会社に3月から勤めている。最初は、試すような難題をふっかけられたが、ここは実力の見せ所とばかりに難関を見事に突破して上司に認められた。これで、質の高い仕事ができるだろう。そう思っていた。



その後は、会社の女の子を助けるために愚痴を言ったり、営業の文句を言ったりしていた。たぶん、それを彼ら営業が気に食わなかったんだろう。彼らの小さなプライドを傷付けたんだろう。いつか、コイツを黙らせてやる、辞めさせてやる。そういう考えを本音に隠して、表面上は笑顔で振る舞っていた。



「すごいねー、今度一緒に仕事しようね」



そう言いながら笑顔で近づいてきて、気付いたら



「2、3日でブースに貼るパネル10枚作れ!」



と、そんなの真面目に考えたら徹夜しなきゃ無理なレベルの仕事の振り方。「ふざけんなよ」と思いつつ、これまた才能を発揮。以前、毎月のように20以上ある施設の折込作ってた制作速度を見せつけ、徹夜することもなく問題解決。しかも、8時過ぎには帰るというマイペースぶり。



もう、これを見てさらに営業は頭に血が上って「絶対潰す!」レベルまで言ったんだと思う。



そのあとも雑事を頼まれる。あれが欲しい、これが欲しい。



営業「ユニフォームも言葉じゃ伝わらないから、2頭身じゃなく実際に近いサイズでイラスト書いて。」


自分「わかりました。(イラストレーターじゃないのに…)」



と心の中で思いながら、本気を出してプロ並みのイラストを書いた。あまりに出来が良く見えたせいで、仕事振った本人が驚いていたくらい。



営業「あと、天井に貼るビジュアルサインも外注データで使えないからさ、作って。」


自分「たぶん、この見本のように上手くはならないんだけど、レンポジ使っても良いんですか?」


営業「いや制作費ないから、フリーので作って。」


自分「まあやってみて考えます…(バカか)」



と心の中で思いながら、フリー素材探して合成したら2時間程度の作業でこれまた見事に完成した。作業時間が足りないことでクオリティが問題だったけれど、これも見せたら出来が予想外に良かったため営業が驚いていた。それで、さらに負けた感を彼らが感じてしまったんだろう。



営業「これさ、解像度って大丈夫?」


自分「(いや、あんたがフリーで作れって言ったんだろう)…いちおう、最大サイズで作ってます」


営業「そうなの?それで、使えるの?」


自分「まあ、大きく貼るサインだしそんな近くで見る奴いないから、解像度は少なくても問題ないと思います。」


営業「ふーん、そう。」



どうやっても彼らは優位に立ちたいため、ミスを誘おうとしていたように見えた。今にして思うと、この無謀なプロジェクトを振ったのはそういう理由に思える。だが、予想外に躓かせることさえ出来なかったため、彼らも焦ったろうな。



あとから聞いた話によるとこのプロジェクトの制作費、実質0円。会社からお金振り込まれるし、関係ないけれど気分は良くないな。その話を聞かされた女の子が自分以上に腹黒い営業のやり方に苛立っていた。



その件のあと、たまに彼らが処理しきれない案件がたまにポツポツ仕事するくらいで、それ以来ぱったり営業が静かになり、暇になってしまった。特に関心もなく、仕事のクオリティを無駄に引き上げてみたり本読んで勉強したりしていたけれど、やっぱり彼らの中で「アイツは気に食わないから、仕事振りたくない」という話になったんだろう。



その考えに至ったのは、冒頭に書いた彼女が声を潤ませて言った言葉を聞いてようやく繋がった線。彼女は悔しそうに言う。



「もう、わたしは誰を信じれば良いのか分からない…」



この会社は、営業意外は外出禁止なのかクライアントに会ったことがなかった。そのことを社長に言うと、そんなことはなく「どんどん外に出て良い」と話していた。自分も彼女に対してのアドバイスとして、



「もっと外に出て、営業じゃなくてクライアントの話を聞くと良い仕事が出来るんじゃないの?」



そう言っていた。何度か彼女も外出できたのだけど、それも上手く利用された感じに見えたし実際そうだった。彼女に対して言うだけじゃなく、自分もクライアントに会っておかなきゃ口だけだなと思っていたのでタイミングよく新規の案件に対して営業の独身男に話をした。



「それで、明日一緒にクライアントのとこに行きたいんだけど…」


「…」



少しの間。彼は自分のモニターから目を離さずに、こっちの目すら見やがらない。そして言葉を放り投げるように言う。



「だそうですけど、どうしますか?」



と、上司に報告。上司も絶対に良い顔しないと確信して、そうしたんだろう。じゃあ、自分も上司に許可とっておくかと、側に言って説明する。その上司からはクオリティの高いものを作れる人だと思われているから、独身男の予想を裏切って少しの修正指示だけ受けた。



「じゃあ、そこだけ直しておきますね」



そう言い残し席に戻った。と、言うのも行くのか行かないのかハッキリしない状態にしておいた方が行動しやすいからだ。会うのをダメとは言われていない。そんな訳で独身男に、彼からも嫌われているのか知らないけれど、嫌がらせのように付きまとって仕事を奪うくらいの勢いで行くことに決まった。



「長いものには巻かれろ」をモットーにしている独身男になんて負ける訳がない。



と、思いっきり迷惑かけつつ辞めることを考えている。こんな、少数で子供の喧嘩ばかりしているような会社じゃこの先長く続くわけがない。嫌がらせもしてくるだろう。本当にくだらない会社。タイミングよく抜けられるように、他の会社にアピールしておこう。



ただ、そこの会社の女の子だけ取り残されたら可哀相な気はする。彼女も近いうちに辞めるだろうと思う。けれど、彼女を利用したいと思っている人たちに引き止められて真に受けてズルズル続けるような弱さも感じているから、不安だけれど…。


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このページは、karinがJune 10, 2008 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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