お祈り
恋愛感染経路/柴咲コウ
涙、私が流すけど
本当に泣くのはきみだね
仲良しの女の子が新婚旅行してしまう件があり彼女経由で、孤立しそうだった1つ下の女の子と現状の仕事を組まされた。基本的には年上好きなので興味がないのと、どこか相性が合わない。そんな1つ下の女の子に仕事の説明をしてると、隣で仲の良い女の子が座ってこっちを見てる。何だよ、気になるな…と思って横目で見ると、両手を軽く胸の前で組んでお祈りみたいな格好をしていた。
そんな彼女の微笑み具合から察すると、がんばってという意味らしい。説明の最中にすこし言葉に詰まって、何か言ってくれるかなと期待して彼女を見ても何も言わずに、ずっとこちらを向いて何かにお祈りしてた。何か言えよ。いや、良い…。可愛かったから。説明を無事に終わらせると、よく出来たねーって頭をなでなで…。されたい。そんな勢いではあったのだけど、彼女は相変わらずお祈りの格好で、ウンウンよく出来たと頷いていた。
もし彼女と付き合えてたなら、確実に自信を持つことができるのに…。もしくは、そういう愛情が逆に甘やかしになってしまってダメになってしまうのかな。そう考えていくと恋愛はすごく怖い。相手に影響を受けてプラスになることもあるが、極端にマイナスに陥っていく場合もありえる。彼女の場合はわりと甘えさせてくれそうな感じがあって、面倒見てあげるから何でも言ってねといった雰囲気。そういう人に何故か好かれる。いや、自分が魅かれるというべきなのかな。
帰る時間になると彼女がやってきて、ニコニコしながら「どう?」と言って顔を向けてきた。すぐに挙式用ボードのことだと気付いて、すこし考え「…明日?」と返す。見えない部分で繰り広げられる会話。絶対に周りから見たら関係が疑われるってば。
「そういえば、仙台行ったよ。」
「もう行ったの?いつ?」
「土曜日。」
「疲れた?」
「うん…。仲良しの従姉妹と遊んできたよ。」
「またそれ?」
「同じ誕生日だからね」
「それでさ、他はどうだったの?」
「…まあまあかな。」
「へー。」
「うん。」
「なんかわたしの時も『まあまあ』って言われそうだね」
そう言い終えるとバッグを持ち直して身を返して帰って行った。「そんなことないよ」と彼女の後ろ姿に放った言葉は届いたのかな…。
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