蹴りたい背中

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バシバシ。と、ものすごい笑顔で後ろから背中を叩かれる。



「ねぇ、忙しい?」


「あー、うん。」


「あれ、どうなってる?」



仲良しの彼女の言うあれとは、数週間前に「二人きりで相談したい」と彼女に会議室に呼び出されて言われた、ウェルカムボード。結婚式の2人の名前がお洒落に書いてあるボードのデザインをしてもらいたい、という要望だった。



「センスとかは任せるけど…。」


「うーん、どんな感じのが良い?」


「そうだね…、お洒落系?」


「難しいこと言うね。」


「うん…。でもうちのあれは、センスないから。」



“うちのあれ”って、婚約相手の…。そんな成り行きで、あれの件の進行状況を聞かれた。



「どうなの?」


「うん。」


「進んでる?」


「まあまあ…。」


「出来そう?」


「うん…。月曜日とかで良い?」


「うーん…、うん。」


「お洒落目だよね?」


「うん、お洒落目ね。」



そういう他愛無いことを話してる間中、ずーっと背中叩かれてた。何なの?



どこか緊張をしてて、コミュニケーションに自信がないことの裏返しなのか、それとも単に距離を縮めていきたいだけの接触なのか、お願いしてるからがんばってねという意味なのか…。いや、いじられキャラだから虐めたりしたいだけなのか…。



そんな好きな相手の結婚式のために、彼女とその恋人の名前をいれたラブラブのウェルカムボードをデザインする。という、心が破壊されそうなことをしないといけない。そんな春。


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このページは、karinがApril 19, 2006 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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