9cmの距離
世間一般的なオタク女子がどんな思想なのか、ちょっと立ち読みしたら興味深くて購入後即読破。小説、作り話の世界には飽きているので良い気分転換。ついでに教養を兼ねながらの読書ライフ。ただ、腐女子とかオナニーとかって文字が躍っているから電車内で読む際にも注意が必要なのだ。
ボーイズラブ読んでるときに知り合いに「何読んでるの?」と聞かれたら「江國香織だよ」って誤魔化さないといけない文章の心境と一緒。
すぐ好きになる
冠婚葬祭用の礼服を買いに行ったのだけど、店によって客対応の違いがすごい。酷いとこはサイズのある場所だけ案内して終了。接客が悪いところはもう二度と行ってあげないんだから!でも、対応の良いお店も見つけて何着か探してもらうんだけど、そのたびに分からなくなるという悪循環。着丈、身幅、肩幅…。
上戸彩のイメージの強い青木なんかも良かったけど、アパレルで何件か試着後、最後はスーツ系で売ってるスーツセレクト21に決定。接客で少し親身になってくれたことと、スーツの売りが上手かったからかな。「普段はどんなところで洋服買うんですか?」という話題にしてまでこっちの提示してるサイズにあわせようとしてくれて、ただ買ってもらえれば良いというタイプの店員さんじゃなかった。
それで、取り置きを頼んだスーツセレクト21に再度向かう。試着手伝ってくれた担当の人の名刺持って。彼女に合うと…、女の店員さんなんだけれど最初は作ったような笑顔で挨拶。
「いろいろ探してきたんですけど、さっきのにします。」
「ありがとうございます。どんなところ見てきました?」
「新宿まで行ってきました。」
「へー、Perfect Suit FActoryとか…。」
そんな会話を交えたあとに再度試着開始。
「袖の部分なんかって直せますか?」
「うーん、ちょっと無理なんですよー…。」
ちょっと袖を直す仕草を見せる、と彼女が気付いたように言う。
「あ!幅じゃなくて、丈ですね!直せます、直せます。」
天然っぽい感じに好印象。で袖丈を測る。
「若干、右手の方が長いのかな…。」
「そうですか?自分では気付かないけど…。」
「なんか、スポーツやってる人に多いんですよね。」
いや、帰宅部…なんてことは言わず。とにかく袖丈を何度となく微調整をしてる彼女を見て思い出したように言う。
「そういえば他の店では、一般的に親指から9センチくらいがジャストらしいって言ってましたよ」
彼女はすぐに何も言わずに、すこし考えてから
「でも、親指の長さだって人によって違うんじゃないですかね?」
と、自身の意見をキチンと述べる。適当に合わせたりしない。
何度か試行錯誤して満足がいく長さに調節すると、コンマ2センチ左が短め。そのあとに、彼女がふと親指の先からの距離を測ると、
「あー!9センチだね!」
とお互いに笑い合う。そのときの表情は最初に見せたような作り笑顔じゃなく、心から楽しそうな。
1階デート
「一式揃えたいので、シャツなんかも見てもらって良いですか?」
「お直しを頼んでくるので1階で待っててもらえます?」
「あ、はい。1階に居ればいいんですね。」
なんて、微妙な距離感を保ったデートに近い感覚。この地点ですこし彼女と親密を心がけて接してみる。礼服買いに来てるだけなのにすでに趣旨が変わる。
一階で待ってると、走ってくる彼女。自分のために一生懸命になってくれてる姿は可愛いな…。なんて、思いながらシャツ選び。
「色とかはどんなのがお好みですか?」
「うーんと…。礼服なんで…。」
「この辺とかですかね…」
「実を言うと、今月は親族の結婚式で来月、会社の同僚の結婚式があるんですよ。なんで…。」
「あー、親族側だったら…。」
と、彼女はグレー目のシャツを取り出す。
「たぶん、これでも全然大丈夫だと思います。」
意外と強気。というか、なんとなく彼女の感覚を信用してるので決めかけたけど、
「…でも、白って言われた気がするから、無難に白にしようかな…」
それで、白シャツに決定。そのあとに彼女は、
「実はわたしなんかも、今日はほんとは出勤しない予定で友人の結婚式に行くんですよ。」
「えー、そうなんですか?」
「それで、二次会に出席するために、朝からスーツで来たら周りに笑われましたよー。」
「ありますよねー。」
「今月、今年の一月から周りがみんな結婚し始めて出費がすごい増えて…」
「うんうん。だいたい三万くらいは包まないとダメだし…。」
「そうですね。うーん…。同僚の人たちはどこで式を挙げるんですか?」
「あの、代官山とかって言ってたような…」
「あの辺多いですね、値段的にもかなりいきそう」
なんてカジュアルな会話を交えつつ、同僚のためのシャツまでセレクト!普段は私服勤務だからと言うと、また待っててくださいと言って走ってまでシャツとネクタイ取りに行ってた。で、そんなイメージにお勧めのものを見てくれた。
「わたし、代官山のあたりでアルバイトしてたんですよ。」
「前はどんなこと…?」
「あの、飲食業で。」
そのあと、こっちの職業も聞かれたけど、そんなに興味を示してもらえず…。やっぱり私服だから、スーツが大好きな彼女とは合わないような。同僚用のお洒落シャツは買い控えて、再び来ることに決める。そのほうが仲良くなれる機会が増えるかもしれないし…。
そのあとに靴を見てもらい、説明を受け会計のためメンバーズカードを作る。
「名前、変わってますね」
「あ、よく言われるんです」
なんて定番の会話で始まり、名前の説明をしたあとに
「板橋って東上線ですか?」
「そうです。」
「だったら、わたしの近所ですね。」
「あの辺に住んでると、もっと都会っぽくこっちの方に住みたくなりません?」
「あー、そうですね。でも、あのあたり治安は良いですよね。静かだし。」
「静かですよねー。」
「そうそう。」
「あ、でも、うち…。アパートの近所に電車走ってますけどね。」
「あらー…」
なんて、乾いた笑いを交えながら会計を済ませて。彼女が頭を下げながら、
「ありがとうございました。」
「いえいえ、ありがとうございました。」
向こうが頭を上げたときに少し目を合わせてもう一度お礼をして終る。うん。好きになってしまうかも…。お金だけの関係、とかそういう危ない感じもあるのだけど、もう少しだけ、親しくなってみたい。アパレルか…、危ないかなぁ。
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