さよならの挨拶

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一週間ぶりに会ったのに、素っ気ない態度をとる。


ほんとはとても会いたかったのに…。



プリンターの出力を眺めていると彼女がやってきて、



「これ、時間かかるの?」


「…う、うん。17枚ずつだから。」


「…そっか。これキミのPCの名前?」



彼女はプリンターのモニターを指しながら言う。



「うん。」


「…そっか。時間かかるなら、わたしのプリントのキャンセルしておいてくれる?」


「…はい。」



会話を文章にすると、嫌われてるって思われても仕方ないほど素っ気ない。



「久しぶりだね、元気だった?」



なんて、笑顔で言おうとしてたんだけど。前もって何を言おうか考えてると上手くいかないみたいだね。たくさん話して、たくさん笑いあってみたい…。彼女のことは好きだけど、ほんとの自分を見せて嫌われるのが怖くて…、そんな様子を彼女は嫌われてるとか、避けてるのかなと感じてしまう。



好きなの?


どうしてか彼女は、彼女に何があったのか知らないけれどある時期を境にして親しくなった。いや、親しくなろうとしてきた。夏頃に仕事の話を全くせずに、楽しげな会話で仕事の打ち合わせに行ったこと…、これが唯一の思いあたることなのだけど。そのことがあってから、彼女は何となく隣の席に来たり、よく話しかけてくるようになった。



「土曜日に、ちょっと仕事でプールに行くから一緒に行かない?」



その夏の終わり頃に、彼女はこう言って誘ってきた。



女の子の誘いを断るなんて馬鹿



必要とされること



「わたしって明るく見える?…そんなに明るくないんだよ。」



一度だけそれは、すごく小さい声だったけれど彼女はふとこう言った。いつも笑顔だし、よく笑う声も聞こえてくるのに、どこかに闇を抱えていて。その闇を抱えてる姿に共通部分を見つけて、過去の自分を見てるようだから構って話しかけたり、親しくしようと試みているのかな。どうして仲良くなりたいのかな。自分が彼女をその闇から助けられるかも知れないって、彼女のためにしたいこと、してあげられることだって考えていたのだけど、どうやら必要なかったみたい。妊娠…。



用事があって外出の準備が終わり廊下に出て行くと彼女が反対側から来た。向かい合うように出会って視線があう。数秒の間…。彼女が微笑んで挨拶する。



「いってらっしゃい。」



かわいい口元の感じ、背が小さい彼女の見上げるような視線を横目にして、そのまま廊下をすれ違うように挨拶を返す。



「…いってきます。」



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このページは、karinがFebruary 6, 2006 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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