ウケミン

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会社に向かう途中で、いつもの会社の女の子に会う。



「おはよー」




そう後ろから声をかけられた。


こちらも挨拶すると彼女が続けるようにして言う。



「はやく行かないと遅刻だよー」




時間を気にして彼女に尋ねる。



「間に合わなそう?」


「うん、かなりね」




そう答えたあと、さらに先を行くように歩く速度を早めた。




小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)

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並んで歩く時の歩調から、彼は彼女の好意をはっきりと感じることができた。どちらかが一歩踏み出せばきっとどちらも拒否しないだろうことを、すでにお互いに分かっていた。それでも、彼にはそうすべきかどうかの判断がつかなかった。




足早に先を行く彼女の後ろ姿を見て、さらに自分との距離感を思った。


ゆっくり歩いていても「早く行こう」とか、「どうしたの?」とか何も聞かれない。



だから、ウケミン


何もアクションを起こさない。


女の子に期待したって良いことはないんだ。


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このページは、karinがNovember 6, 2008 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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