温度差
「なんかさ、温かいのか冷たいのか分かんないね」
会社でよく話す女の子はわりと素直で健気な感じ。何でもオープンなタイプと自分で言うくらい。そんな彼女に対して彼女自身が弱気にならないように色々とアドバイスもしたし、本を貸したりもしていた。それから2週間くらい経って、彼女に近付き過ぎていた自分を見直して少し距離を置こうと思っていた。
それでも話すことは多くて、上手く互いの距離感を保てずにいた。そして、今日も雑談を交えたあとに彼女は自分の机の整理をしていた。片付けるのが好きなのかな、なんて考えてると彼女から声を掛けてきた。
「この借してくれた本ありがとう。」
うん、と答える。続けて彼女が言う。
「これ、まだ借りてても大丈夫かな?」
「あ、全然良いよ」
なんて会話をして、彼女のためになったのなら良かったなんて安心していると、彼女は不安そうな表情で言う。
「キミってなんかさ、温かいのか冷たいのか分かんないね」
だって。素っ気ない態度だと思われた。
全然そんな気なくて、普通に接しているつもりだった。だけど、上手く感情を表現できない、自分の気持ちを言い表せない。自分の中で納得して、それが相手に伝わっていない。どこか他人に恐怖に感じて、悟られないようにしている。そんな無意識に避ける癖が冷たいと思われるんだろうな…。
「なんでかな、別にそんな気ないんだけど…」
なんて答えた。少し距離を置こうかとしていたことは事実なんだけど…。女の子の見抜く力みたいなものは凄い。そういう瞬間は、もの凄く恐怖を感じて心を閉ざす。心が見透かされているような感覚は苦手だ。
また少し過去の話を彼女に対して言ったときがあった。
「自分が入社したときは、またキャーキャーワーワー言ってるなーって思ってた。」
「そっかな…」
少し前の自分のことを思い出して考える様子の彼女。そして少し微笑んで指差すように言う。
「…泣いてたね」
いや、泣いてなんて…と反論しようと思ったけど上手くタイミング逃した。悪口にならないような程度の些細な意見の衝突。ちょっと良いなと思った。それと最近ドキドキした女の子の癖は、机などに落ちている髪の毛のくずを中指で引っ付けて下に落とす行動。人差し指と小指をすこし立てた感じが可愛らしくて良い。
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