タイムリミット
話が前後しているけれど、午前中こんなことがあった。
「問題の解決方法はこっちだと思うんだけど…」
そう言って、彼女にハロワで検索した仕事を何件か見せる。周りの意識を一生懸命変えるよりは、環境自体を変えたほうが彼女にとって良いと思った。もう自分が出来ることはないし、一番手っ取り早い。
「今の会社に恩とかあれば別だけど、特に思い入れもないならこっちも良いんじゃない?」
うんうん、と頷く彼女。
「やっぱり、今のここの会社はあんまり良い人がいないと思う…」
と彼女に言った。これは事実だし、学ぶことも無いだろうと自分がこの一ヶ月の間に感じていたことだ。すると彼女も
「そうだね、わたしもそう思うよ」
と同調する。さらに続けて彼女は言った。
「新しく人が入って一月くらいで引継ぎしたらボーナスがもらえる時期だし、そしたら辞めようかな…」
「最後には全部放棄してさ、思いっきり迷惑かけて辞めたら良いじゃん」
それは、彼女の最後の復讐のチャンスだしどれだけ周りが彼女に仕事を押し付けていたのか、そういう理解させるために薦めたのだけど、彼女は「そういうことはしない」と言った。責任を人から押し付けられても、わたしは人に責任を押し付けたりしたくない。と前に彼女は健気な感じでそう言っていた。
「あ、そういえば…」
と彼女の言葉のあとにカレンダーを見ながら話を続ける。
「自分も3ヶ月の試用期間終わったらちょうど6月かな。」
「あ、じゃあ一緒に辞めちゃう?」
なんて意気投合。さらに彼女が口を開く。
「辞めた後でもアドレス交換したりしようね」
「そうだね」なんて答えて、辞めたら途切れそうな関係にすこしセンチメンタルな気分に浸っていると彼女が思い出したように口を開く。
「この前頼んだリングノートだけどさ。」
「うん。」
「辞めるまで教わることたくさんあるから、それのメモを取るのに使いたいんだ…」
「なるほどね。でも、もう色々伝えたしそんなに教えることないかもよ?」
と言ったのだけど彼女は答える。
「まだあるよ。だから、辞めるまでいろいろ教えてね。」
だって。辞めるの確定なのか、とすこし悲しい気持ちになった。けれど今の会社のくだらない仕事で彼女の才能を潰し、埋もれさせてしまうよりは確実に良い。
良い方向に向いてるはずなのだから、悲しむ理由なんてひとつもないんだ。
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