辞めた女の子の話

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年度末、1人の女性が会社を辞めました。



その子は以前の日記では全くと言っていいほど触れていない。


彼女は年齢が自分の1つ下で、自分と同じように仙台出身だった。


そんな共通点があったけれど特に親しくなるわけでもなかった。



入社した頃の自分は別の女の子と仲良くなりたいと思っていたし、


彼女のことは絶対に仲良くなれないタイプだとずっと思い込んでいた。



だから、彼女に仕事を頼まれることがあっても異性を意識したことはなかった。


むしろ彼女自身に興味がなかったんだと思う。


彼女もビジネスライクに接していたし、それが普通だった。



それがだんだんと彼女の仕事が増えると共に頼まれる仕事も増えてきて、


彼女はその仕事を直接話してくれることが多かった。


上司のことは嫌いらしく、そこでも彼女との意見は一致していたらしい。



彼女は話してる間もなかなか視線を合わせてくれないのだけれど、


話す機会が増えるにつれて自然に接してくれるようになった。



そんなある日の朝、彼女は朝の会議の席で言った。




「今月いっぱいで退職することになりました。」




突然の告白に自分は彼女の顔を見ることが出来なかったけれど、


真正面に座る彼女はこちらの様子を伺おうと視線を送っていた気がした。


けれど自分は感情を隠すように俯いて、彼女の方を向くことはできなかった。



その後のふとした隙に彼女を見たときには


「みんなに迷惑をかけてしまうことへの不安」を感じさせる表情だった。


大事なときに視線を合わせて、心配ないよと伝えられたら良かったのに。



自分は「彼女がこんな意味不明な会社にいるより絶対に良いことだ」と思ったし、


寂しい気持ちよりも喜ばしい気持ちでいられたのだけど、


後から地元に帰るという話を聞いて少し悲しくもなった。



彼女が出勤する最終日に、彼女はお礼の品を持ってきて




「お世話になりました」




という感謝の言葉と、




「わたしはキミのデザイン、好きだったよ」




と笑顔で言われた。



それからは一言二言、挨拶程度の会話で終わってしまったのだけど。



普段、自分から積極的に話しかけるタイプではないし、


誰かが全く話のできない人だと噂をしていたときに彼女は


「普段の彼は話さない人ではないと思う」と言ってくれたらしい。



彼女が去って数日後、それが今日なのだけど


お礼の品を開けてなかったことを思い出して開けてみたら手紙が入っていた。



そこにはこれからの仕事のこと、お願いしたデザインが好きだったこと、


そしてもっと会話をしたかった、といった内容が書かれていた。



彼女からの手紙を見て、変わらなきゃいけないなと思った。


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このページは、karinがMarch 17, 2010 12:00 AMに書いたブログ記事です。

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